中村智子さんの畑で芽を出した赤シソ=伊万里市(中村智子さん提供)

 伊万里市の中村智子(さとこ)さん(61)から届いた写真は、土から顔を出すたくさんの双葉。7アールほどの畑で栽培している赤シソの芽という。「種まきは2月末。今年は暖かいせいか、早く芽が出ました」

 梅の生産量で県内一を誇る伊万里梅園藤ノ尾。中村さんも生産者の1人だ。シソと梅は初夏に収穫が続き、JAや直売所に出荷する。

 昨年1月、夫の正道(まさみち)さん(享年63)が梅園からの帰りに突然、亡くなった。梅の世話は主に正道さん、シソは自分の役目で、収穫期は力を合わせた。半年かけて漬ける梅干しは、夫婦の合作だった。

 「子どもたちは遠方で、後継者もいない。もう梅の木を抜いてしまおうか」と二人で考えた時期があった。ただ、義父母が植え、夫が丹精込めて育てた木への愛着も強かった。

 梅園では80代や90代の現役も珍しくない。今は「自分もできるうちは」と思っている。「梅は今年も花を付けてくれた。赤シソも頑張ります」。夫にも届くように、そう口にした。(志垣直哉)