国営諫早湾干拓事業(長崎県)を巡り、潮受け堤防排水門の開門を命じた2010年の確定判決を「無力化」するため、国が起こした請求異議訴訟に関し、漁業側は8日、国の主張を認めた二審福岡高裁判決を不服として最高裁に上告した。漁業者側は「確定判決に基づく執行が権利濫用になるのは許されない。不当判決」などとする声明を発表した。

 国は10年の高裁判決が確定した後の「事情の変化」を理由に、開門の強制執行を免れるための手続きとなる「請求異議」の訴えを起こした。今年3月の高裁判決では、諫早湾やその周辺の漁獲量が増加しているとして、国側の主張を認定。開門命令の確定判決は事実上無効となった。

 漁業者側は「有明海再生に向けた開門調査は不可欠」と訴えている。弁護団は声明で「確定判決に基づく執行が権利濫用と判断されれば、民事訴訟制度の根幹が揺らいでしまう」と非難した。

 開門を命じた確定判決の原告の一人で藤津郡太良町大浦の漁業者平方宣清さん(69)は「漁獲量が増えているなど、驚くべき判決だった。国は和解協議の提案に応じずに解決の糸口が見えなかった。最高裁でしっかりと検証してもらいたい」と話した。

 諫早湾干拓関連訴訟では「開門」「非開門」の相反する司法判断が出ているが、最高裁は19年、別の訴訟で非開門を支持した。今回の判決を最高裁が維持すれば、非開門の司法判断が統一されることになる。