2月上旬、星がきれいな冬空に煙突から煙が上っていく。冷え込みが厳しい中、唐津市鎮西町の八床(やとこ)窯で戸川雅尊(がそん)さん(40)は登り窯内の温度を示す温度計と火の流れを見やりながら黙々と薪(まき)をくべる。夜通しの孤独な作業だが、耳の治療を経て半年ぶりの窯焚(た)きの感覚を確かめていた。