原油などの資源価格の上昇が止まらない。ガソリン1リットル当たりの全国平均小売価格は14日時点で175・2円と13年半ぶりの高値水準となった。原油だけでなく、金属、小麦など価格高騰は広範囲に及んでいる。

 資源価格高騰の背景には、複数の要因が絡んでいる。ワクチン接種が進んだ国々での経済活動の再開に伴って、資源需要が高まっている。急激な需要拡大による供給不安、物流の滞りなどが重なった上、日本では円安によって輸入資源の価格上昇を招いている。そしてさらなるマイナス材料として、資源大国のロシアによるウクライナ侵攻も影を落とす。

 ロシアは、アルミニウムや銅、ニッケルの主要産出国だ。ウクライナ侵攻に伴って欧米を中心に対ロシア経済制裁が科され、供給不安への警戒感から値動きが荒くなっている。さらに小麦については、2019年実績でロシアが世界3位、ウクライナが7位の生産量を誇る。現在の小麦の価格上昇は、米国産の不作や世界での需要拡大などが背景にあるが、ウクライナ情勢がさらに高騰に拍車を掛ける懸念がある。

 資源価格の上昇は、私たちの生活にも着実に影響が及んでいる。佐賀市の消費者物価指数(2020年=100)にも顕著に表れている。昨年11月にはガソリン代などが含まれる「交通・通信」の自動車等関係費が104・2、灯油代などが含まれる「光熱・水道」の他の光熱は125・7にまで上昇した。「食料」の油脂・調味料も昨年10月から103台と前月比で3ポイント上昇し、最新の今年1月まで上昇傾向が続いている。

 止まることのない資源価格の上昇を受けて、食品メーカーを中心に6月にかけて菓子や即席麺、調味料の値上げを予定しており、家計の負担はますます増していく。

 資源価格上昇、価格転嫁のサイクルが続けば、消費者心理は冷え込み、コロナ禍が落ち着いて社会経済活動が再び本格化した時に、景気の拡大局面でうまく循環していかなくなる恐れが出てくる。

 政府や日本銀行は、長らくデフレ脱却を掲げて「異次元の金融緩和」政策を続けてきた。今の物価上昇傾向は、政府や日銀が目指してきた姿ではなく、日銀の黒田東彦総裁も18日の会見で「好ましくない」として、「悪い物価上昇」への懸念を示した。「悪い物価上昇」とは、賃金の上昇を伴わないインフレを指す。今の状況はまさに「悪い物価上昇」に向かっているといえる。

 ここで歯止めをかけるためにも、賃上げの輪を広げていきたい。利益を上げている企業から賃上げを着実に実践したい。2022年春闘は自動車、電機大手で「満額回答」が相次ぎ、中小企業への波及が注目されている。賃上げの輪を広げて消費意欲を刺激し、経済の好循環を進めたい。

 県内の小規模事業者のある経営者は「昨年、最低賃金が大幅に上がったので、合わせて賃上げを実施した。決して業況は良くないが、地域経済が少しでも良い方向に回っていけば」と話していた。こうした経営者が一人でも多く出てくれば希望を持つことができる。

 国にも、企業の動きに期待をかけるだけでなく、物価上昇の打撃が大きい低所得層への目配りを求めたい。(梶原幸司)