散歩をしていると、ランニング愛好者や集団で走る部活動の生徒に出会う。追い越されたと思ったら、瞬く間に遠ざかる。「歩く」と「走る」。足を交互に前に出すのは同じでも、そこには大きな違いがある◆三浦しをんさんは小説『風が強く吹いている』で、箱根駅伝を題材に弱小陸上部の個性豊かな学生たちを描いた。駅伝は一人の孤独な長距離走をたすきでつなぎ、チームで競い合う。走るというシンプルな運動に、仲間への信頼や戦略、駆け引きなど駅伝ならではの複雑な要素が加わる◆第62回郡市対抗県内一周駅伝大会はきのう、基山町から嬉野市までの11区間101・9キロのコースで行われた。冷たい風が吹く中、13チームが力走し、小城市が10連覇を飾った◆新型コロナの影響で昨年に続いて1日だけの短縮レースとなり、出番がなかった選手は残念な思いだったろう。それでも大会は多くの協力を受け、途切れずにたすきをつないだ。活躍の場は必ずくると信じ、走り続けてほしい◆三浦さんは〈走りはじめるのを、走り終えて帰ってくるのを、いつでも、いつまでも、待っていてくれる仲間がいる。駅伝とは、そういう競技だ〉と書いた。選手だけでなく、沿道からも声を張り上げ、駅伝という競技の魅力を感じたい。来春こそはコロナが去り、県内一周で競い合えればいい。(知)

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