今をさかのぼること、およそ2800年もの昔に、古代ギリシアで世界最古とされる文学作品が生まれました。吟遊詩人ホメロスによる「イリアス」と「オデュッセイア」です。日本はまだ縄文時代の終わりの頃です。物語は、トロイの木馬で有名なトロイア戦争と英雄オデュッセウスが郷里に帰り着くまでの冒険譚ですが、ここに、おおぐま座、オリオン座、うしかい座、プレヤデス、ヒアデス、シリウスの名前が歴史上はじめて登場しています。

 おおぐま座とうしかい座は春の夕空に見やすくなりますが、他のオリオン座、プレヤデス(星団)、ヒヤデス(星団)、シリウスは冬が一番見やすい季節です。よく知られているオリオン座は形の整った星座です。オリオンは狩人で、有名な三ツ星はオリオンの帯になっています。プレヤデスは、日本では「すばる」と呼び、こちらの方がなじみ深いことでしょう。プレヤデスとヒヤデスは星の集団です。現在では両方ともおうし座の一部になっており、星空の中で狩人オリオンに対峙(たいじ)するように角を振り上げています。シリウスは全天で最も明るい一等星で「オリオンの犬」とも呼ばれていました。狩人オリオンを主人とする忠実な猟犬ですね。

 古代の物語を想いながら、晴れた日の寒空を見上げてみませんか。(佐賀市星空学習館副館長・早水勉)