建設受注統計の書き換え問題で国土交通省幹部ら10人が処分された。政府統計のまとめ役である総務省も事務次官ら7人が厳重注意などを受けた。これまでの調査で、国交省は問題に気付きながら、それを隠すような対応をしてきたことが判明している。政府が作成する統計全体の信頼を傷つけた両省の責任は重く、処分は当然だ。

 政府、日銀などの公的な統計は経済情勢を判断する大きな材料になり、投資家や金融市場への影響も大きい。多くの企業や個人の協力で作られる統計は国民全体の財産でもある。

 2018年には厚労省でも統計の不正が発覚した。間違いがあれば訂正し、公表するという当たり前のことがなぜできないのか。おざなりな反省や対策ではすまない。

 政府には、よく利用される基幹統計だけでも53あり、全てにミスがないとは言い切れない。今後検討される再発防止策は、間違いが見つかるのを前提とし、各省庁の統計部門や政府全体で自浄作用が働くように改革することが肝心だ。

 国交省の調査報告書などによると、企業が提出した調査票の書き換えは遅くとも00年には始まっており、受注推計値と合算する二重計上が13年から始まった。書き換え問題が会議で持ち出され、「触れてはならない雰囲気」になったこともあったようだ。

 厚労省の毎月勤労統計の不正を受けて実施された19年1月の一斉点検では、係長が総務省に問題を報告するよう進言したが、上司は取り合わなかった。同6月にも課長補佐が指摘したが、室長らは是正に動かなかった。

 同11月には会計検査院が受注統計の問題点を指摘し、総務省に相談するよう促したが、担当室は時間稼ぎに終始した。総務省の統計委員会には、別の統計の資料に書き換えの説明を紛れ込ませて提出し、承認を受けたように装ったという。

 現場に近い係長や課長補佐の意見を無視し、外部からの指摘には耳をふさぐ幹部職員の姿勢は、あきれるばかりだ。「事なかれ主義」と責任回避ばかりが際立ち、正しい数字に直していく姿勢はみじんも感じられない。

 統計は専門知識に基づいて設計し、正確な集計作業を日々続けねばならず、本来厳しい仕事だ。統計要員の削減や政策立案に偏った人員配置が、問題の背景にあったとも指摘されている。

 日常業務に追われる中で、重要統計を修正するのは重い負担になる。過去の担当者を含め、処分される可能性を感じたのかもしれない。担当幹部が正面から問題に向き合わなかった理由をはっきりさせ、再発防止策に生かす必要がある。

 各省庁の統計部門の強化も欠かせない。調査方法や分析の専門家が政府に十分いるわけではない。大学、シンクタンク、民間企業の人材に一時的に出向してもらい、政府統計の質を高める必要がある。統計部門の風通しをよくし、担当する公務員の士気を高めることにもつながるだろう。

 各省庁の統計を定期的に点検するのはもちろん、現場からの指摘を受け入れ、問題点を審査する部署を統計部門の外に設けることを考えるべきだ。

 各種の統計は経済動向の分析や政策立案の基礎になる。与野党は国会で統計問題の集中審議を実施し、再発を防ぐ対策を徹底的に検討してほしい。(共同通信・永井利治)