23日に投開票される嬉野市長選は、再選を目指す現職の村上大祐候補(39)=1期、塩田町馬場下=と、新人で商業コンサルタント会社社長の藤山勝済候補(71)=嬉野町下野=が激戦を繰り広げている。若さを強調して市政の継続を訴える村上候補と、市民との対話を主張する藤山候補。もう一人の新人で音楽事務所代表の岸川美好候補(73)=嬉野町下宿=を含め、訴える政策は「災害対策」「新市庁舎構想」「行財政改革」と三者三様。秋に開業する新幹線によるまちづくりへの言及は乏しく、争点は見えづらくなっている。

 村上候補は告示前、後援会組織の拡大を図り、40の団体・企業の推薦を取り付けた。新型コロナウイルスの感染予防で、選挙戦では総決起大会などの集会を中止、陣営幹部は「政策や考えを広く訴える場がなくなったのは痛手」と話す。代わりに各地でこまめに街演し、4年間の実績や災害対策などを訴えている。

 地元の青年層や壮年層らが陣営を支え、農業関係の団体も動いている。ただ、「最近は個人主義で、組織全体に支持が行き渡らないこともある。油断はできない」と陣営幹部はこぼす。組織だけに頼らずに、さまざまな支援者に一層の支持の呼び掛けを求めている。

 20団体の推薦を受ける藤山候補は嬉野移住後に築いた人脈を生かし、支持の拡大を狙う。前哨戦では辻立ちで知名度アップに努めた。選挙戦ではコロナ対策と「効率的な選挙運動を展開する」(陣営幹部)として総決起大会は予定せず、支援者が各自、友人や知人に支持を呼び掛けている。

 元県議が陣営幹部に加わるなど、過去に挑んだ市長選より体制を充実させた。新市庁舎構想で、塩田庁舎の機能縮小方針に反対する住民も支援する。肥前吉田焼窯元協同組合の販促アドバイザーを担うなど「地域に浸透する努力を重ねてきた。街演でも手応えを感じる」(陣営幹部)とする。

 各候補が重点を置く主張は異なる。村上候補は昨年8月の大雨被害の対応を踏まえ、災害に強いまちづくりなどを中心に訴える。藤山候補は街演で、新庁舎整備構想を巡り2町合併時の約束を守るなどと主張する。草の根の運動で支持を求めている岸川候補は行財政改革を最優先課題に掲げ、現市政への批判を展開する。

 九州新幹線長崎ルート武雄温泉-長崎や嬉野温泉駅開業に伴うまちづくりに関しては、開業日やダイヤの発表に至っていないこともあり、具体的な論戦になっていない。

 新人同士、同じ顔ぶれで争った前回2018年の市長選の村上氏の得票は7890票、藤山氏は7312票。前回70・52%だった投票率は新型コロナの影響で伸び悩みが懸念され、両陣営は当落のラインを7500票ほどとみる。

 コロナ下で有権者への電話攻勢を強化したり、SNSでの発信に力を入れたりして票の上積みを目指す陣営もある。最終盤は各陣営とも浮動票の取り込みに力を注ぐ。(古賀真理子)