災害時に被災者が身を寄せる全国の指定避難所約7万9千カ所の約3割が、風水害による浸水想定区域に立地していることが20日、内閣府の調査で分かった。公共施設の多くは交通の便が良い場所にあり、避難所の適地である高台には少ないためだ。水害時には使えなくなる恐れがあり、国は、やむを得ず浸水区域内に避難所を置く自治体に対し、安全確認など対策の徹底を求めた。

 2020年の7月豪雨では、熊本県の球磨川の氾濫で多くの指定避難所が浸水した。

 指定避難所は、被災の危険がなくなるまで一定期間滞在する施設。市区町村が、公民館や小中学校などを指定している。洪水や津波など危険が切迫した状況で安全を確保する「指定緊急避難場所」とは区別されるが、両方を兼ねている施設も多い。調査は20年10月時点。浸水想定区域にあるのは31%の2万4254カ所だった。15%が土砂災害警戒区域に、5%が津波災害警戒区域に立地していることも分かった。

 都道府県別では、浸水想定区域内にある避難所の割合が最も高いのが富山県の56%。土砂警戒区域内は和歌山県の43%、津波警戒区域内は徳島県で32%となった。

 富山県の担当者は「住宅がある平野部の多くが浸水想定区域にあり、区域外の適地が少ない」と説明する。避難所ごとに、浸水時でも安全な階数をハザードマップで示すなどの対応を市町村と進めているという。
 佐賀県は、浸水想定区域内にある避難所の割合が45%で、全国で5番目に高くなっている。県危機管理防災課は「(19年8月の)佐賀豪雨などで市町が浸水想定区域を見直したことも影響した可能性があるのではないか」と話す。避難所が土砂警戒区域内にある割合は11%、津波警戒区域内は3%になっている。

 昨年8月時点の、避難所の設備や備蓄についても調査した。飲料水を確保している避難所は73%。断水時のトイレ対策をとっているのは68%、通信設備があるのは59%、非常用電源を備えているのは57%だった。

 内閣府は今月13日、自治体に対し、区域内での指定を極力避け、指定する場合には安全確認を徹底し、備蓄倉庫や受変電設備が浸水しないよう、対策を講じるよう求める通知を出した。