門松作りを楽しむ住民ら。家の片付けや壁の補修などを手伝い、空き家を管理している=佐賀市鍋島町

 地元住民が中心となって空き家問題を解決する取り組みが佐賀市鍋島町で進められている。隣人による草刈りから始まり、管理の担い手づくりや家のメンテナンスに発展。栽培した野菜の収穫体験なども行い、住民が交流するスペースになっている。治安を守る地域活動としても注目を集めそうだ。

 昨年末、十数人が門松を作ろうと集まった空き家。「昼にはバーベキューをするから、もうちょっと来るよ」。隣に住む宮原万里子さん(54)は、差し入れを持ってくる人を笑顔で出迎えた。

 約4年前、住んでいた夫婦が亡くなり家主を失った。娘の藤川操さん(41)=多久市=が相続したものの、手入れが行き届くほどに帰れない。数年たつと草が生い茂り、外壁が剥がれるなど老朽化した。宮原さんが「荒れて不審者が入ってきたりしては不用心」と、3年ほど前から草刈りをするように。敷地内の畑も藤川さんに相談して耕すようになった。

 宮原さんは昨年3月ごろ、農作業やDIYに長けた知り合いの副島巧さん(72)=佐賀市高木瀬町=の協力を受け、倉庫内の片付け、外壁修理を行った。家の中の片付けも負担にならない範囲で取り組んでいる。今では鍵を副島さんが預かり、本業であるマンション管理の合間に片付けている。

 マンションに住む子どもたちが庭の野菜を収穫。バーベキューや焼き芋づくりもして、片付けなどの協力者を増やす。庭には置物やイルミネーションが飾られ、倉庫には周辺住民の農機具を一時置いてもらうなど、地域と緩やかにつながる民家としてよみがえった。

 藤川さんは「死んだ家のようだったのに、外見からは空き家と分からないほど。物の処分は大変でそこまでしてもらっては悪いと一度は遠慮したけど…。助け合いの可能性を教えてもらった」と感謝する。副島さんは「藤川さんと信頼関係を築けているのが何よりも大きい。片付け作業は仲間と遊んでいる感覚」。宮原さんは普段は運送会社の経営に追われており「余力であっても大勢になれば、空き家の片付けや管理ができる。全国で深刻な問題となる中、こんな例もあると知ってもらえたら」と話した。(志垣直哉)