本年度の全国高校サッカー選手権は今月10日に決勝があり、青森山田(青森県)が優勝した。試合前、観衆と選手が一人の指導者に黙とうをささげた。長崎県の島原商と国見を日本一に導いた名将小嶺忠敏さんである。今月7日、76歳で亡くなった。サッカーに限らず、良き「師」との出会いは一生の財産。特に10代は指導者の存在が大きい◆青森山田に敗れたが、大津(熊本県)の総監督平岡和徳さん(56)も名将の一人と思う。小嶺さんと同じように地元に戻って教職に就き、熊本商から大津へ異動。強くなるために欠かせない「人間力」を含め、ゼロからつくり上げた◆大津では練習時間を100分とし、全力でやることを習慣化した。ウオーミングアップからパスワーク、シュート、戦術練習、ゲームへと次々に進み、一切の無駄をなくす。その間、選手の足が止まることはない◆自らを追い込む厳しい練習が翌日、「あのトレーニングがゲームの中でこのようにつながるのか」と感じれば、自ら考え行動する力が選手に芽生える。平岡さんはこれを「考動(こうどう)力」と呼ぶ。100分の中に無限に工夫するチャンスがあることに気づけば普段の生活も変わってくる、という◆選手を本気にさせるために思いを言語化、可視化した。その言葉が「年中夢求(むきゅう)」。名将に共通する「言葉の力」を思う。(義)

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