虹の松原の県道沿いで大きく折れたマツ=1月5日、唐津市浜玉町

 唐津市の虹の松原内を通る県道沿いで、高さ16メートルのマツが途中から折れ曲がった。松原内に倒れたため、車などの通行に支障はなく、けが人も出なかったが、管理する国や佐賀県の巡視でマツの異変は事前に把握されていない。今のところ腐食は確認されておらず原因は不明で、目視による点検だけでは十分ではないことを示す事態である。関係機関は重く受け止め、安全対策のあり方を改めて論議する機会としたい。

 虹の松原の安全対策は、2019年7月に倒れたマツと軽自動車が衝突し助手席の小学5年生が亡くなった事故を機に、歴史的景観の保護も考慮しながら議論された経緯がある。事故後に県道の安全管理を担う唐津土木事務所は、道路沿いのマツを樹木医が調査し、倒木の恐れや路肩に幹がはみ出して危険な42本を伐採、非常に危険性が高いと判断した308本の経過観察を続けている。松原内の県道については、委託業者の車上目視を週2回から毎日に、徒歩の巡視を週1回から2回に増やしている。松原内は林野庁佐賀森林管理署の職員が巡回している。

 唐津土木事務所は道路と反対側の松原内に傾いていたため経過観察の対象とせず、注視していなかったとしている。しかし、地上5メートル付近で折れ曲がって周辺のマツも2本倒れている。県道沿いのマツで直径88センチ、樹齢220年を超える大木であり、万が一道路側に折れ曲がっていたら事故が起きた恐れもあった。

 重視すべきは、直前まで何ら異常が見られていなかった大木が突然ぽきりと折れていた事実である。原因は今後の調査結果を待たなければいけないが、100万本ともいわれる松原であり、同様の倒木が起きる恐れは否定できない。生活道路として交通量は多く、国特別名勝の観光名所とあって県外からの観光客も通行する。事故や今回の事態を教訓に、事故防止の安全対策をいま一度考える必要があるのではないか。目視だけで未然に防ぐことは容易ではない。

 唐津土木事務所は昨年10月、巡視作業の不正が発覚して委託業者を処分した。11月に樹木医が所属する業者に代わり、業者が状態の変化を察知した場合に樹木医や県と対応策を検討することになっている。ただ、監視態勢が十分に機能し得るのか、市民からはいぶかる声も聞こえてくる。もちろん、目視による巡回は欠かせないが、樹木医による定期的な調査で補強することはできないのだろうか。

 倒木の危険性を見抜くことができなかったことを受け、森林管理署は他に何かできるか監視方法を模索する。国、県、唐津市の役割分担はあるが、危機管理意識を共有してさらに連携を強め、一体となって事故の再発防止にあたる姿勢が求められる。(辻村圭介)

このエントリーをはてなブックマークに追加