乳量アップのため、乳牛の状況を確認する生産者やJA、県などの関係者=武雄市(提供写真)

 酪農の経営を向上させようと、佐賀県やJAなどは乳牛の「分娩(ぶんべん)間隔短縮プロジェクト」に取り組んだ。現状を分析した上で、餌の改良などを行った結果、分娩までの間隔を2カ月近く縮めることに成功し、乳量の増加につなげた。県やJAなどは、今回の成果を県内に広げる考えだ。

 乳牛は通常、1頭が5、6回出産する。出産後は発情期が約20日ごとに来るため、なるべく早く受胎させることが乳量増や効率的な経営につながる。

 このため、県やJAなどは2021年度までの3カ年、武雄市と多久市の規模20頭ほどの牧場2カ所を対象に分娩間隔短縮プロジェクトを実施した。牧場では毎日朝と夕に採乳した牛乳の量や成分などを記録している。この記録やそれぞれの牛の分娩間隔、授精の回数、空胎期間などをまとめた「牛群検定表」を基に乳牛の状況などを調べた結果、全国の標準的な指標に比べて餌の量が不足気味であることが分かった。出産後の乳牛は餌が不十分だとエネルギー不足で受胎しにくい傾向があるという。

 このため、従来の飼料計画を見直し、全体の約半分を占める濃厚飼料(トウモロコシ)の量を2割ほど増加。今まで機械で一括して与えていたものも、1頭ごとに牛の嗜好(しこう)性も考慮しながら、よく食べるものに変更した。

 この結果、プロジェクト前は492日だった1頭当たりの平均分娩間隔が、436日と56日短縮された。これにより、牛が1日に出す乳量を1200円と計算すると、乳牛が20頭いる牧場では134万円の増収につながるという。

 担当した堤誠一郎JAさが酪農課係長は、今回の成果の背景について、近年大幅に進んだ牛の改良に農家の管理が追いついていない面があると指摘。「酪農家にとって長年培った餌のやり方を変えるのは抵抗が大きいが、今回の例も参考に、乳量アップにつながる餌の見直しが進めばいい」と話す。(宮里光)

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