人と犬の付き合いは長い。日本の昔話にも、鬼退治に行く桃太郎のお供や、優しいおじいさんに「ここ掘れワンワン」と、宝の在りかを教えた賢い犬たちが登場する◆犬を飼っている家庭には家族のような絆があるだろう。筆者も飼いたいと思ったことはあるが、亡くなった時の悲しみを考えるとためらう。命を預かる責任は重い◆1983年公開の映画「南極物語」は南極観測隊の隊員と一緒に帰れず、「昭和基地」に取り残された樺太犬の物語。次の観測隊が訪れた1年後、15頭のうち「タロー」と「ジロー」だけが生きていた。これは実話。63年前のきょう1月14日、生存が確認された◆樺太犬は寒さに強いが、それだけでは生き残れない。映画では、つながれた鎖から抜け出した8頭が小魚を食べたり、アザラシを襲ったりして飢えをしのぐ様子が描かれる。幼犬の頃南極に連れて来られたタローとジローは昭和基地が古里のようなもの。本能とはいえ、最後は古里を離れなかった「地元愛」が命をつないだ◆きょうは、この史実にちなみ「愛と希望と勇気の日」に制定されている。極限の状況を生き抜いた奇跡に人々が感じたのはきっと、あすへの「希望」。希望とは結局、「命」そのものかもしれない。愛、希望、勇気。コロナ感染の勢いが増す今、特に心に留めておきたい言葉である。(義)

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