今年は中国が飛躍を目指す重要な1年だ。2月の北京冬季五輪は国際社会に中国の台頭をアピールし、国威発揚を図るチャンス。今年後半に開く5年に1度の共産党大会では、習近平総書記(国家主席)が異例の3選を果たす見通しだ。

 2049年の建国100年までに「近代的な社会主義強国づくり」「中華民族の偉大な復興」を実現する目標に向けて歩みだすスタートの年だ。習氏はさらに権力集中を進め、目標の達成へ大号令を発する構えだ。

 しかし、国際社会は中国の強引な海洋進出や新疆ウイグル自治区や香港などの人権弾圧、台湾への軍事威嚇に警戒を強める。米中関係の悪化や新型コロナウイルスの再燃、経済成長の減速など多くの内憂外患を抱え、中国の前途は多難だ。

 四面楚歌(そか)では立ちゆかないし、地球温暖化対策などグローバルな課題も多い。中国は自国の発展や影響力の拡大だけではなく、国際社会と長期に共生し、人権を重視する新興大国への道筋を真剣に探るべきだ。

 北京五輪を前に中国は陝西省西安市などを都市封鎖、天津市で全市民にPCR検査を実施するなどコロナ対策に躍起だ。習氏は「われわれは素晴らしい大会を世界にささげる自信と能力がある」と成功への自信を示す。

 米英などは人権侵害に抗議して五輪に政府代表を派遣しない外交ボイコットを表明し、日本も実質的に追随した。人権状況の改善要求は当然だが、外交ボイコットが効果的とは思えない。国際社会は中国と粘り強く人権対話を続けたい。

 「平和の祭典」の意義は政治体制の違いを超えて選手がフェアプレーで競い合うこと。中国は選手と競技を第一に円満に五輪を開いてほしい。

 共産党中枢の政治局常務委員会は年初の会議で、党大会の重要性を強調し、習氏を「党中央の核心」として確立すべきだと訴えた。習氏は3選により通算15年の長期政権を担う。習氏への個人崇拝が進み、人権状況がより悪化したり、対外的に強硬姿勢を強めたりしないか懸念される。今後の動向を注視したい。

 昨年、中国は環太平洋連携協定(TPP)への加盟を申請し、今年初め、中国が参加する地域的な包括的経済連携(RCEP)協定が発効した。中国は世界経済とのつながりを深める戦略だが、米国は経済安全保障を理由に中国企業の排除に動き、米中摩擦が続く。

 国内経済では格差是正のための重点目標「共同富裕(共に豊かに)」を掲げるものの、大手企業への締め付けは民間経済の活力をそぐとの懸念も出る。コロナや高齢化、不動産大手、中国恒大集団の経営危機など課題も多い。中国は自国発で世界経済を動揺させないよう十分注意してほしい。

 年初の日米外務・防衛担当閣僚の安全保障協議委員会(2プラス2)は地域の安定を損なう中国の行動に対し、共同で対処する決意を示した。台湾有事を想定したとみられ、中国は「軍事的などう喝」と強く反発した。

 今年は日中国交正常化から50年の節目だ。日中は社会制度の相違にかかわらず平和共存の原則の上に「恒久的な平和友好関係」を確立すると共同声明に明記した。両国はこの原点に立ち返り、軍事的な駆け引きより、善隣友好と共生を目指す対話にもっと力を入れるべきではないか。(共同通信・森保裕)

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