子どもの頃はちゃんとできたのに、大人になると分かっていてもしなくなることがある。信号機がない場所での「手上げ横断」はその一つ。気恥ずかしさがあるのか、ドライバーに視線だけを送って突っ立ってしまう◆交通マナーをまとめた教則の改正で、手上げ横断が43年ぶりに復活したのは半年前。その際、「当然、教則に載っていると思っていた」と話題になった。それだけ浸透している歩行者の心得だが、改めて教則に盛り込まれたのは、知ってはいるけど行動が伴っていない現状があるからだろう◆佐賀県警は新年早々に県内で発生した2021年の交通事故による死者数を発表した。前年比10人減の23人で、20人台になったのは1950(昭和25)年以来71年ぶりという。減少は対策の成果だろうが、23人が命を落とした事実の重さを忘れてはならない◆歩行中の死者は10人で、県警は子どもだけでなく、大人も手を上げて道路横断の意思を示す「ハンドサインで渡ろう運動」を推進している。「棒立ちしている場合に比べ、手を上げた方が車は止まる」と手上げ横断の効果を実証した三重県の高校生による実験もある◆見ず知らずのドライバーには以心伝心、あうんの呼吸は通じない。子どもたちに教えるばかりではなく、大人も手を上げて意思表示。大切な命を守るためである。(知)

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