「さがリトルベビーハンドブック」を持つ江口玉恵さん。小児科で発達具合を見る時や、大人になってからの受診でも役に立つという

母子健康手帳のサブブックとして使う「さがリトルベビーハンドブック」。体重は0グラムから、身長は20センチから書き込むことができる

 小さく産まれた赤ちゃん向けの成長記録ノート「リトルベビーハンドブック(LBH)」が佐賀県内でも配布されている。体重や身長がどんなに小さくても記入できるほか、同じような経験をした家族からの応援メッセージなどもあり、孤立しがちな母親らに寄り添う構成になっている。制作に携わり、自身も早産の経験がある江口玉恵さん(40)=佐賀市=は「今頑張っているママたちが、ちょっとでも前を向いて笑顔になれたら」と話す。

 市町が交付する母子健康手帳の多くは、体重を記録する発育曲線のグラフが1キロや2キロから始まり、2500グラム未満の低出生体重児だと書き込めないことがある。また月齢ごとに成長を問う「~できますか」との項目に「はい・いいえ」で答える形式になっており、江口さんは「全て『いいえ』になった時、すごく傷付いて、手帳を開くのも気が進まなかった」という。

 LBHの目盛りは0キロから始まり、どんなに小さくても書き込める。発達記録は、「はい・いいえ」の代わりに日付を記し、わが子だけの成長を残せるようにした。県内の先輩ママや家族などのメッセージを多く掲載し「一人じゃないよ」との思いを込めた。

 江口さんは2012年、予定日より2カ月ほど早く長男を出産した。出産準備もそこそこに、いきなり母親になり、新生児集中治療室(NICU)のわが子と自由に会えない日々を過ごした。「病室でなんともいえない気持ちになり、涙が止まらなかった」

 3年ほど前、母子健康手帳に関する講演会でLBHを知った。同じ母親仲間らと県に提案し、当事者の声を集めたり、どんな項目が育児に役立つかを考え制作。病院での治療や訓練の記録をするページも設けた。県は、1500グラム未満の県内在住者の赤ちゃんを対象に、県内と福岡、長崎県のNICUがある医療機関で昨年3月から配布している。県こども家庭課によると、県内では年間150人ほどが2キロ未満で出生、昨年12月までに160部を医療機関に配布した。健診や予防接種などは母子健康手帳に記録し、サブブックとして使う。県ホームページからもダウンロードできる。

 江口さんは「同じ経験をしたママたちと気兼ねなく話せる場がほしい」と、サークル「Nっ子ネットワーク佐賀pianpiano(ピアン・ピアーノ)」を2019年に立ち上げ、月に一度ほど交流の場を設けている。江口さんは「地域の子育てセンターでは成長を比べてしまい、足が遠のくこともあった。気を張っているママたちが息を抜ける場になれば」と語る。

 問い合わせは同サークル公式LINE(ライン)、@884aefauまたはインスタグラム、pianpianosaga(森田夏穂)

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