政治資金パーティーの来場者を見送る山口祥義知事(右)=2021年11月、佐賀市文化会館

 佐賀県の山口祥義知事の2期目の任期満了まで、10日で残り1年となる。2期目の3年間は新型コロナウイルスの感染拡大と、2度にわたる豪雨災害で危機管理対応に追われつつも、SAGAサンライズパークをはじめとした複数の大型ハード事業に取り組んだ。12月が有力視される3度目の知事選に向け態度を明確にしていないが、周囲は「出馬は当然」とみている。これまでのところ、各政党に目立った動きはない。

 1期目の4年間は有田焼創業400年事業や明治維新150年の維新博などソフト事業を展開した。2期目は一転して、サンライズパーク整備や佐賀空港の機能強化、消防防災ヘリコプターの整備といったハード事業に打って出たが、県内は2年のうちに繰り返し記録的な豪雨に見舞われ、コロナが猛威を振るった。

 国の方針を待たずに次々と決断していく山口氏の危機管理対応への県民の評価は、佐賀新聞社が実施したここ3年間の県民世論調査でも8割前後の支持率として表れた。前回、対抗馬を立てた共産党県委員会は「具体的な検討はこれからだが、野党統一候補を模索したい。少なくとも無投票にはしないつもり」と話す。

 2期目の間、県議会最大会派の自民党とは何度も不協和音が生じた。感染症への差別を戒める啓発として提案した「誓いの鐘」設置を巡り、36年ぶりの予算案修正となった。アリーナ新築の入札不落を受けた建設費の増額補正では、県政史上初めて本会議で予算議案に対して付帯決議が可決された。議場以外での調整の必要性を訴える議会側に対し、山口氏は「公開の議場が大切」と意に介さない。

 議会で最も激しい論戦となるのが、九州新幹線長崎ルートの整備方式を巡る問題だ。全線フル規格化を求める自民県議らに対し、山口氏が感情的に切り返す場面も少なくない。今秋、武雄温泉-長崎が対面乗り換え方式で開業する。12月の実施が濃厚な知事選と近接するだけに、山口氏の周辺は新幹線を巡る世論の動きが選挙戦に与える影響に敏感になっている。

 もともと山口氏は2015年に自民推薦候補を破って知事になった経緯がある。18年の知事選で自民は2期目を目指す山口氏を推薦したが、決定までの手続きで手間取った。ある自民県連幹部は「今年は1月から4月にかけて市町の首長選が集中し、夏には参院選もある。正直、知事選は全く頭の中にない」としつつ、「政局は読めないが、普通に考えれば山口氏は今回も自民に推薦願を出すのではないか」とみている。

 昨年11月の政治資金パーティーで、山口氏は「コロナ後の新しい時代には佐賀が先頭に立ち、世界中が佐賀を見るような、そんなものをつくっていきたい」と「次」を見据えたような発言をした。次の知事は24年10月のSAGA2024(国民スポーツ大会、全国障害者スポーツ大会)の大会運営を担う。新型コロナの感染の波を気に掛けながら迎える2期目仕上げの1年。山口知事の一挙手一投足に注目が集まっている。(栗林賢)

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