さだまさしさんの歌には物語があり、短編映画を見ているような気持ちになる。「関白宣言」は妻となる人への愛情、「案山子」は都会に出た家族への思いを語り掛けるように歌う。「雨やどり」も偶然の出会いから婚約までの女性の心情がユーモアを交えて描かれている◆この歌が生まれるきっかけになったのが唐津市厳木町出身の画家中島潔さん(78)の童画「雨宿り」。さださんが初めて買った絵で、中島さんにとっても初めて売れた作品だった◆「雨宿り」は古い家の軒先で、ほっぺの赤い童女が空を見上げている。あどけない表情が愛らしく、懐かしさに包まれる。その後、さださんが称した「風の画家」として知られるようになり、画業50周年を迎えた◆集大成となる特別展が佐賀県立美術館で開かれている。テーマは「女性が輝く未来」。ねぶた師や杜氏(とうじ)、鷹匠(たかじょう)や刀鍛冶など日本の伝統文化をモチーフに、女性の強さを表現している。流れるような線、鋭いまなざしが印象的で、どの作品も躍動感にあふれている◆中島さんは「ふるさとを出て60年、絵を描き始めて50年。生きるとは、幸せとは、夢とは…と自分の中で考え、感じたものを作品に込めた」と話す。雨宿りをするように、ちょっとひと休みして、風の画家の物語に触れてみてはいかがだろう。特別展は2月13日まで。(知)

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