安良川越しに望む霞堤。九州新幹線高架橋下に一部が残っている

 鳥栖市幸津町(さいつまち)を流れる安良川(やすろがわ)がJR鹿児島線と交差する付近に霞堤(かすみてい)と呼ばれる堤防が残っています。

 この堤防は江戸時代前期に佐賀藩が行った治水工事の一環で築造されたもので、地元では佐賀藩の治水の名人といわれる成富兵庫茂安によって築かれたと伝えられています。

 堤防は安良川の西側に沿うように、高さ5メートル、長さ400メートルほどの規模で築かれており、川が増水した際には間にある田畑へ水を入れ川の水位を下げて氾濫を防ぎ、本堤防が決壊した際には第二堤防として備える構造になっていました。また、平時には遊水地としてかんがいの役割も担っていました。

 鳥栖市教育委員会が行った発掘調査では、築堤された後も江戸時代中期と後期、近代、そして昭和28(1953)年の大水害後など数回に及ぶ改修や拡幅工事が行われたことが確認されています。

 現在、鹿児島線から南側の堤防部分は掘削されて失われていますが、北側の九州新幹線高架橋の下には一部が残っており、集落を水害から守るため400年にわたって代々受け継がれてきた堤防の面影を見ることができます。(地域リポーター・田中健一=鳥栖市儀徳町)

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