学芸員不在の状態が続いている佐賀大学美術館=佐賀市本庄町

 全国2例目の国立大学美術館として2013年にオープンした佐賀大学美術館(佐賀市)で、学芸員不在の状態が続いている。学芸員は美術館運営の根幹を担う存在で、美術関係者からは「このままでは多様な展覧会が開けなくなる」と危惧する声も上がっている。

 同美術館は「国立大では東京芸術大学に続き2校目」と鳴り物入りで本庄キャンパスに開館した。学芸員は全国から公募し、常勤を含めて5人体制でスタートした。

 しかし、業務内容や待遇面への不満が原因とみられる退職が相次ぎ、17年からは非常勤3人だけとなり、20年からは非常勤1人となっていた。最後の1人も昨年2月に退職し、学芸員不在に。ようやく7月に新たに非常勤1人を雇い入れたものの、わずか3カ月余りで退職した。

 学芸員は「博物館法」に定められた専門的職員で、博物館資料の収集や保管、展示、関連する事業を行う。学芸員の配置は、法に定められた登録博物館などには義務づけられているが、佐賀大美術館は対象からは外れている。

 ただ、学芸員がいないことで、所蔵する資料の研究が進まない上、他館から作品を借りにくいといった運営上の支障が考えられる。

 退職した学芸員の1人は「佐賀大美術館は収蔵品が限られ、資金も潤沢ではないため、他館との連携が欠かせない。でも、学芸員がいなければ信用が得られないので、作品を貸し出してもらえない」と打ち明ける。

 常勤の学芸員が不在になった時点から、県内の画家らによる外部評価委員も「非常勤ではなく、他の美術館と連携が取れる常勤の学芸員が必要だ」と繰り返し指摘してきた。

 同美術館は求人に当たって、学芸員専任ではなく、「事務補佐員(学芸員)」と記載。事務職をサポートする傍ら、学芸員業務に携わる立場と位置付けている。担当者は「立て続けの退職で、うまく補充できなかった」と振り返った上で、「やりたいことがやれないといった、希望との乖離(かいり)があったのかもしれない」と想像する。

 非常勤職員3人を募り、同館の渡孝則館長は「複数人から応募があった。少しでも早く着任してもらい、学芸員の仕事がやりやすい環境を整えたい」と語り、人材確保を急いでいる。(福本真理)

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