「大漁旗」(2019年、490×716ミリ、ケント紙に水彩)

 大漁旗が強い海風にはためく。押し寄せる波に、子どもたちはすっかり大海原へこぎ出した気分。本当は、ぼろぼろに朽ち果てた木造船だけど。

 「人間だって年をとるし、なにごとも時とともに変わっていく。かつては大海原で活躍していた船と、これから育っていく子どもたち。どちらも祝おうじゃないか」

 風になびく派手な大漁旗は、中島潔が好んで描くモチーフだ。波打ち際にうち捨てられた木造船と、思い思いに海のかなたを見つめる子どもたち。大漁旗とともに一つの“かたまり”として配する構図で、すべてを丸ごと祝おうという気持ちを込めた。

 「廃船はやがて消えていくけど、なにも暗く考えることはない。『ごくろうさん』と声をかけて祝えばいい。人生はすべて素晴らしい、そう言いたかった」

 さあ大漁旗を掲げろ、いざ船出だ。子どもたちの声が聞こえてくる。=敬称略(古賀史生)

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