年の暮れ、唐津城前のカウンターしかない小さなうどん・そば店で遅い昼食を取った。仕事納めの日でもあり、そばを食べたかったが、残念ながら予約分で切れているとのことで、うどんを注文した。

 もう1人、常連とおぼしき年配の男性が入ってきて「すぐできるうどんを」と頼んだ。店を切り盛りする70代のおばちゃんはうどんを作りながら、おしゃべりにも忙しい。昔は餅つき屋が道具一式をリヤカーで運びながら家々を回って注文していたと懐かしみ、「うちも餅つくのは今年で最後。手伝ってもらいよるばってん、もう体がきつか。来年からは注文すっよ」。

 男性は子どもから運転免許証の返納を促されたと嘆く。「親子の縁を切るとまで言うとばい」。おばちゃんは「わたしゃ店をしよるうちは運転するよ。80歳まで頑張る。やめたら長年働いた褒美で退職金代わりに自動運転の車ばこうてもらうたい」と大笑いした。

 明るく話す会話の中に高齢社会の一端を垣間見る。傘寿の母も父の通院やお茶の稽古、買い物で運転免許が手放せないとこぼしていたことを思い出し、おばちゃんにサービスしてもらった餅をかみしめた。(唐津支社長・辻村圭介)

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