普段の備えや避難に関する項目などが示されている防災かるた

北川慶子・聖徳大教授

「防災かるたをやりながら、何か一つでも心にとどめてもらえれば」と語る県防災士会の小林紀事務局長=佐賀市の佐賀新聞社

防災かるたは、幼稚園児や小学生、高齢者を対象にしたイベントでプロジェクトメンバーの学生も参加して活用してきた(北川慶子教授提供)

 近年、大規模な自然災害が佐賀でも相次いで発生している。有事への備えが必要だけど、何から始めたらいいのか-。遊びながら心構えなどを学べるのが「防災かるた」だ。佐賀大学在職時に制作した北川慶子・聖徳大学教授と、これまで各種イベントで活用してきた佐賀県防災士会の小林紀事務局長に効果などについて聞いた。(松岡蒼大)

 

 子どもから高齢者まで楽しみながら災害時の心構えや事前の備えなどを学べるアイテムとして、企業や自治体などが「防災かるた」を活用している。佐賀では2013年、佐賀大学の地域防災研究プロジェクトが制作した。

 当時代表を務めた聖徳大学(千葉県)の北川慶子教授(社会福祉学)は、手拭いに災害時に被害に遭わないための情報をイラスト付きで紹介した「防災拭い」の存在を知ったことをきっかけに、全年齢に親しみのある「かるた」に着目したという。

 句は読みやすさ、覚えやすさを重視した「五七五」調で、学生の考案に国土交通省武雄河川事務所や消防など専門機関からのアドバイスを盛り込んだ。県内の公民館や小中学校などに1千セット以上を配布、幼少からの防災意識の醸成に役立ててもらった。

 かるたでは、「読み札」と「絵札」の両方から災害に関する基本的な知識を分かりやすく紹介し、日頃の準備の大切さなどを伝えている。「逃げ遅れ 防ぐためには スニーカー」は、どんな場所でも動きやすいスニーカーの有用性を、「ランドセル ペットボトルで 浮き輪にも」は水難時にはペットボトルほどの浮力でもおぼれずに助かるといったことを示している。

 日本文化や日本語の勉強とともに防災を学べる点で外国人にも好評といい、北川教授は「九州でも防災の必要性が徐々に高まっている。日本にしかない文化を通して、防災意識を高めてほしい」と願っている。

 

■県防災士会、親子教室などで活用

 防災活動に取り組む佐賀県防災士会では、県建設業協会と共同で実施する「夏休み親子防災教室」で防災かるたを活用してきた。小林紀事務局長は「50(の札)のうち、何か一つでも心にとどめてもらえたら、それだけで意味がある」と話す。

 かるたの競技性を優先すると、子どもが絵札を取ることに集中してしまう。そのため「絵を見てどのような文が読まれるのかに興味を湧かせることが大事。それが、句が読まれた後の『なるほど』という気持ちにつながる」と指摘する。

 その都度、ちょっとした解説を加えることで印象深く記憶される。3回ほど繰り返すことで内容を覚える子どももいるという。

 近年は新型コロナウイルス禍で、密が発生しやすくなる特性を考慮してイベントでの使用は控えている。

 県防災士会は子ども用と大判の高齢者用を3セットずつ所有しており、「家族や地域で防災を考えるきっかけに」と貸し出しを受け付けている。

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