3回戦・佐賀東-大津(熊本) 後半、相手の攻撃を阻む佐賀東のGK松雪翔吾(中央)とDF宝納拓斗(左)=埼玉県の熊谷スポーツ文化公園陸上競技場(撮影・鶴澤弘樹)

 伝統の「ポッゼッションサッカー」が完全に封じられた。佐賀東は優勝候補とされる大津(熊本)との九州対決に敗れ、初の選手権8強入りを逃した。それでも蒲原晶昭監督は「敗れた試合でも必ず点を取ってくれる。ゴールに向かう姿勢がこれまで以上にあるチームだった」と総括した。

 戦前から厳しい戦いになることは想像できていた。大津は世代別日本代表候補を3人擁する、まさにタレント軍団。ボールを保持すれば瞬時にプレッシャーを仕掛けてくる。80分間を通してシュートは3本にとどまり、相手からは24本と怒濤(どとう)の攻撃を浴び、3失点した。

 ただ、初戦で前回王者を撃破した確かな力があった。0-2で迎えた後半31分。「けがしてもいい。体を投げ出してでも決めてみせる」とMF森田悠斗。主将としての意地、得点への執念、勝ちたいという気迫を体にみなぎらせ、FKのこぼれ球を左足で押し込んだ。県大会から唯一無失点試合を続けていた大津の鉄壁をこじ開けるゴールへとつなげた。

 他の強豪校とは違って練習場は校内の「土」のグラウンドがメイン。芝と違いボールの転がり方は不規則で目線が下がるため、パスやシュートの選択が遅れてしまう。コートは1面分もない。決して恵まれているとは言えないが、選手たちは環境を言い訳にはせず、技術を磨き強みに変えた。

 「不用意な形で失点したのは悔しいが、ここまで戦えることを示せた」と森田。全国の強豪と渡り合った自信を胸に、次は後輩が新たな「東」の伝統を築いていく。(井手一希)

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