佐賀豪雨を受けて国が六角川水系で行う治水対策事業を説明するパンプレットの一部。「分水路等の整備」として赤丸の点線で対象地域が囲まれ、分水路が描かれている

 2019年の佐賀豪雨を受けた治水対策として国が計画している六角川の分水路整備が難航し、完工予定の24年度に間に合わないことが分かった。大雨時の水位低減を目指す事業だが、地元自治体の杵島郡白石町の理解が得られず、計画発表から2年を経ても地権者説明にも至っていない。国土交通省武雄河川事務所は「21年夏の大雨被害を受けた新たな治水対策を含めて対応を検討したい」としている。

 佐賀豪雨による甚大な浸水被害を受け、国は六角川水系の治水整備を「河川激甚災害対策特別緊急事業(激特)」に採択し、24年度完了を目指して河道掘削や遊水地整備を集中的に進めている。分水路整備もその一つで、白石町から大町町に入り込んでいる川をショートカットして長さ約350メートルの分水路を設け、二つの流れをつくって水位を下げる計画だった。

 武雄河川事務所によると、白石町の協力を得ながら地元説明や地権者との用地買収交渉を進める方針だったが「町の了解や理解が得られず地権者と話ができていない」とする。事業は事実上全く進んでいない。

 白石町の田島健一町長は「地元を含め、分水路の効果に疑問を持っている。計画は『分水路等』となっており、分水路だけではなかったはず。河道掘削を先行し、効果をみながら中長期の取り組みとして考えるのなら理解できる」という。

 佐賀豪雨と21年大雨で、六角川は危険水位に達し、低平地にたまった水を川に出す排水ポンプを止める「運転調整」実施。浸水被害が拡大する要因になった。分水路整備は河道掘削など他の対策と合わせ、危険水位を観測した地点の水位を90センチ下げる効果があると試算され、運転調整回避の期待も大きい事業だった。

 21年夏の大雨被害を受けた治水対策として国は12月、分水路整備する河川部分を河道掘削する新たな計画を明らかにしている。武雄河川事務所は「21年の大雨被害も考慮した新たな治水対策について流域自治体とも協議しており、本年度中に中長期を含めた対策を決める。分水路対応もその中で地域の声をしっかり受け止めて考えていく」と話す。

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