来年秋の九州新幹線長崎ルート暫定開業に向け、報道陣に初公開された新車両「かもめ」。白と赤の配色が印象的な最新鋭の車両を前に、関係者らがテープカットで祝った=22日午後、山口県下松市の日立製作所笠戸事業所

 2022年が始まった。大みそかから元日へ。いつもと同じように一夜が明けただけなのに、気持ちは改まる。新型コロナウイルスとの闘いは3年目に入ろうとしているが、感染症との共存を想定した上で、「再生」へ向かって着実に踏み出す1年にしたい。

 新型コロナウイルスの感染が広がってから約2年。経済、教育、文化、スポーツと、さまざまな分野で対応を迫られてきた。第5波は収まったものの、新たな変異株「オミクロン株」の市中感染が徐々に広がりを見せている。感染力は強いが、重症化しにくいという知見もある。ただ、確かな情報は少なく、当面は警戒を緩められない。

 一方で、社会も、個人もこれまでの経験によって、少しずつ落ち着いた対応ができるようになってきたのではないだろうか。早くから「アフターコロナ」「ウィズコロナ」といわれたが、何度も感染拡大期を乗り切る中で経験値は高まった。その蓄積を生かし、コロナ下の活動を進めたい。

 仕事においては、テレワークやウェブ会議などICT(情報通信技術)の利便性を経験した。不要な出張や会議などの存在に気づく一方、対面によるコミュニケーションの大切さも実感した。業種や企業形態などに合わせ、これからは柔軟に組み合わせた「働き方改革」を加速させたい。

 日常生活ではマスクや手洗い、消毒や換気など基本的な感染対策の継続が大切になる。あふれる情報に振り回されず、「安心」を保つすべを身につけたい。

 佐賀県に目を移せば、自然災害への対策が急務だろう。気候変動に伴う異常気象は、各地に被害を及ぼしている。昨夏の大雨では武雄市や杵島郡大町町などを中心に、2019年の佐賀豪雨に続いて大きな被害が出た。現在も復旧・復興の途上にあり、早急な対策が求められる。

 武雄市から長崎市までをつなぐ九州新幹線長崎ルートは今秋に開業する。新たな交通基盤を得る嬉野市を含め、県西部地域にとっては重要な年。開業が地域の明るさや活力を取り戻す好機となるように官民の熱意と取り組みが欠かせない。

 県内各地域は人材や観光資源など、再生へ向かう力を備えている。コロナ禍や自然災害によって痛手を受けてきたが、縮こまってばかりはいられない。社会システムから心のありようまで、苦境に立って見えてきた課題と向き合い、一つ一つ対処しながら前へ進んでいきたい。

 今後も厳しい事態に直面し、行きつ戻りつすることはあるだろうが、萎縮したり、浮き足立ったりせず、冷静に受け止める力を高めていければと思う。穏やかで幸せな日常、それを支える社会の実現を願い、再始動する年にしたい。

(論説委員長 大隈知彦)

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