来年3月のダイヤ改正に合わせて無人駅になるJR長崎線牛津駅=小城市牛津町

 JR九州が来年3月12日のダイヤ改正に合わせ、管内29駅(うち佐賀県内は6駅)の無人化を発表し、利用者や住民から戸惑いの声が上がっている。駅員が安全面や防犯面などで果たす役割は大きく、まちの玄関口としての駅の魅力低下にもつながりかねないからだ。JR九州は駅運営の問題点を地元自治体などと共有し、地域づくりの視点から協力体制が構築できないか論議してほしい。

 「コロナ禍とはいえ、合理化一辺倒でいいのか」「どんどん不便になる」…。23日の無人化の発表を受けた県内の利用者らの声である。困惑するのは当然だろう。合理化は事前に地元自治体には知らされていたようだが、発表されるまで利用者が知る手だてはない。

 県内で来年3月に無人化されるのは鹿児島線けやき台駅(三養基郡基山町)、長崎線鍋島駅(佐賀市)、牛津駅(小城市)、多良駅(藤津郡太良町)、筑肥線東唐津駅(唐津市)、唐津線西唐津駅(同)。全体として2015年以来の大規模な見直しという。これにより県内59駅のうち40駅が無人となり、無人化率は67・79%になる。また、県内では筑肥線浜崎駅(唐津市)など5駅で切符の販売窓口が廃止され、窓口がある駅についても切符の販売時間が短縮される。

 もちろん、JR九州にも切実な事情がある。2021年3月期連結決算は純損益が189億円の赤字で、21年9月中間連結決算も20億円の赤字だった。同社の青柳俊彦社長は会見で「人口減や自然災害に加え、コロナで鉄道の収入が大きく減っている。体質改善の施策を推し進める中で、駅の体制も効率化する」と語った。一連の合理化で数億円のコスト削減につながるという。

 企業の対応としては当然で、社内論議も尽くした上での決断だろうが、その一方で問題の本質はそれだけなのかとも思う。鉄道は高齢者や学生らを含めた住民の暮らしに深く関わっている。公益性の高い企業として果たすべき責任があり、住民の暮らしを守ることを矜持(きょうじ)として事業を展開していることも間違いないことだろう。

 今回、筑肥線浜崎駅でも無人化が検討されていたが、新しい駅舎が完成したばかりで、自治体や地域の事業者が管理を担う「簡易委託駅」として人員を配置する見通しという。JR側にすべてを押しつけるのでなく、地元と協力してやれることはあるように思う。

 以前、県内の小規模駅の駅長を務めた人と話したことがある。通学で駅を利用する高校生らに「おはよう」と毎日、声を掛け続けたところ、生徒たちの声も大きくなり、朝の風景が一変したという内容だった。人が駅にいることで地域に役立っていることがたくさんある。(杉原孝幸)