寄付者からの問い合わせへの対応や、返礼品の発送業務を担う武雄市企画政策課の職員。ピーク時は4人体制だった=市役所

 武雄市のふるさと納税の返礼品の発送が遅れている問題が7月に発覚して5カ月が経過した。2万6千件を超える未発送の返礼品は、一部を除き年内には発送を終了する。問題を起こした市内の業務委託会社との契約は8月末に解除し、9月からは市の企画政策課が業務を引き継いでいる。

 市役所4階の打ち合わせスペースに机や電話、パソコンを持ち込み、課の6人の職員のうち3人で業務を開始した。寄付者からの問い合わせ、発送手配、代替品の選定などを引き受けている。苦情は多い時で1日100件に達し、事情を説明するのに1時間かかるケースもあった。ピーク時は4人体制。8月の記録的大雨の後は災害対策本部の対応にも人手を割く必要があり、ままならなかった。

 返礼品の数量を減らした代替品にするか。代わりに武雄の特産品の詰め合わせか、寄付金を全額返還するか-。こうした選択肢を示した案内を9月に寄付者に送ると、問い合わせが一気に増えた。大雨被害への見舞いの言葉はあったものの「遅れてもいいから希望の商品を送って」という注文があった。「行政による詐欺行為だ」「調達できないのは努力が足りないからだ」など厳しい声も続いた。

 それでも、全体的に見ると、案内への返答は3割程度にとどまった。対象者の約9割が県外在住で、市からの郵便やメールを開封しないままの人が多かった。担当者は「電話をかけると、寄付そのものを忘れていたり、返礼品よりも納税証明がいつ届くかを尋ねられたり、苦情とは異なる反応だった」と振り返る。

 発送は終了するが、返答のない寄付者にも、数量を減らした返礼品を送っているため、反応は気になる。弦巻一寿課長は「米や肉の量で寄付する自治体を決める風潮は強い。ふるさと納税は財源確保の点で魅力的な制度だが、返礼品の調達に無理がないように戒めないといけない」と話す。

 この間、市議会では調査特別委員会(百条委員会)をつくったが、問題の真相は解明できなかった。業者の選定過程を透明化するため外部の有識者を加えたり、モニタリング制度を導入したりするアイデアは出た。過大な返礼品の設定という市執行部の認識の甘さやチェック態勢の不備も問われる問題の再発防止策はこれからで、ふるさと納税業務は当面、市の直営で続く。(澤登滋)=おわり=

 

ふるさと納税返礼品発送遅延問題 武雄市のふるさと納税の返礼品に関し、業務委託会社が商品を調達できず、2020年末から年明けの寄付に対し、2万6847件が未発送になっていた。市は会社との契約を解除、米(さがびより)15キロを10キロ、佐賀県産和牛1・2キロを500グラムに減らし、県産豚700グラムとのセットに変更して発送するなどの対応を取っている。