会では、それぞれの立場から町の魅力や将来像について意見を交わした=基山町の基山っ子みらい館

会では、それぞれの立場から町の魅力や将来像について意見を交わした=基山町の基山っ子みらい館

 佐賀新聞社は、基山町の「まちづくりを語ろう会」を基山っ子みらい館で開いた。町民の力を生かしながら、どんな町の将来像を描いていくのか。それぞれの立場で地域活性化を模索している6人と松田一也町長が町の現状と課題を再認識しつつ、熱く語り合った。(瀬戸健太郎)

 

■出席者

 冨山茂さん(69)きざんオキナグサ保存会会長

 増永和子さん(55)そのべファーマーズ事務局

 小森賢一郎さん(42)基山商店専務兼杜氏

 桐伸年さん(27)PICFA生活支援員

 森山涼葉さん(22)西南学院大商学部4年生

 西依裕子さん(60)一福代表

 松田一也・基山町長

 

■進行

 桑原昇・佐賀新聞社編集局長

 

冨山/住みよい環境PR

増永/地産地消の充実を

小森/若い世代が戻る町に

桐/SNSで情報発信を

森山/「自然」キーワードに

西依/人脈育て文化伝える

 

 -自己紹介を兼ね、皆さんが取り組んでいることを語ってほしい。

 冨山 10月26日に「きざんオキナグサ保存会」が発足し、会長に就任した。37人が入ってくれてオキナグサを守る基盤ができた。オキナグサは絶滅危惧種に指定されている貴重な植物で基山の山頂付近に群生している。町が保護活動に取り組むことを知り、少しでも力になりたいと参加した。

 増永 アスパラガスを栽培している。新規就農者だが、最初に感じたのは「ひとりで農業をするのは難しい」ということ。仲間が必要だと思い、3年前に「そのべファーマーズ」を立ち上げた。事務局を務め、けやき台の朝市に出店し、収穫体験も実施している。

 小森 基山商店は日本酒「基峰鶴」をメインに造っており、昨年100周年を迎えた。私自身は東京農業大で醸造学を学び、奈良県で修業して戻ってきた。杜氏を務めて8年目で、いい酒を造りたいと頑張っている。基山は酒造りに適した地域で国内外のコンテストでも高い評価を得ている。

 桐 PICFA(ピクファ)は町内の鹿毛病院の中に2017年にできた福祉施設。就労支援B型で絵を描くことを仕事にしており、チラシやポスターのデザイン、ライブイベント、壁画制作などを受けている。私は生活支援員で障害を持った人を支援しながらプロジェクトを統括している。

 森山 西南学院大学4年生で卒業論文のテーマを地方再生にした。その事例として基山町を取り上げていて、町長さんともお話をさせてもらった。基山を選んだのは、町の良さを多くの人に知ってもらいたかったから。その縁で座談会参加の機会をいただいた。

 西依 町図書館の近くで「一福」という飲食店を営んでいる。ちゃんぽん屋として始まったが、今はエミューやマコモダケなど地元の食材を使ったメニューも提供している。季節を楽しむ昔ながらの食生活を忘れがちだが、基山ならではの料理を伝えたいと思う。

 松田町長 皆さんの話を聞き、基山町を愛してくださっているなと感じた。この愛を広げていくにはもっと誇れる町にしていくことが大切で、町としても取り組んでいく必要がある。一緒に頑張っていきたい。

 -それぞれの活動を通して見えてきたこと、町に足りないものは。

 小森 酒蔵に来られたお客さんに「基山は通ったことはあるけど、初めて来た」と言われることがある。町に注文を付ける前に、自分が町をアピールできるようにならなければと思う。酒蔵にいろんな人を集めて町の良さを知ってもらえるような活動をしたい。

 増永 そのべファーマーズは15人で活動しているが、点が結び付き、協力し合うことが理想だ。役場にはいろんなことをつなげてもらい感謝しているが、頼るだけではいけない。埋もれている人たちをどう活用するかを考えたい。私は移住してきて温かく迎えてもらった。恩返しをしたい。

 冨山 オキナグサを“全国区”にしたいが、どのように情報発信すればいいかを悩んでいる。SNSなどを使いこなせればいいが、なかなか難しい。フェイスブックのページを開設したが、現段階では作っただけ。詳しい人について勉強し、アドバイスもほしい。

 桐 ピクファに来て基山町のことを知ったという人も多い。福岡市の人でもそうなので、PRが届いていないのだと思う。基山の良さは人柄の良さ。商品をSNSで紹介するのは簡単だが、最近の消費者は商品の背景を知りたがる。商品を作る人をPRすれば、会いに来てもらえる町になる。

 西依 基山は福岡市へ通勤する人のベッドタウン。町に人がいるのは土曜・日曜だが、その休日に町が閑散としている。商店も日曜は休んでいる。開けてもらえれば、わざわざ隣町まで買い物に行かなくてもいいのに…。よそに吸収されず、町内で賄えるようになってほしい。

 森山 町をもっと知ってもらう必要性を感じる。最近は地方に住みたい人が増えているという調査結果もあるが、知ってもらわないことには住んでみたいという気持ちにはならない。提案したいのはインスタグラムのハッシュタグ。基山町のハッシュタグを付けて情報発信すれば、若者の目に付くし、住んでみたいという町づくりにつながる。

 -それぞれの立場から将来に向けた考えを。

 冨山 住みやすい町づくりを目指して頑張っていこうと思っている。協力できることは何でもやっていきたい。基山は道も整備されているし、大きな病院もある。環境もいい。そういうものを活用し、住みよい町をPRして、1人でも多く基山に来てもらいたい。

 増永 農業の部分で町をPRしたいし、基山の名前が出るような行動を心掛けたい。まずは基山の農産物を町内の人に食べてもらうことが大切。地産地消が充実するように生産者として頑張らないといけないし、できた農作物をどう町内の人に届けるか考えたい。

 小森 基山にしかない魅力がたくさんあると思うが、そういったものを私たち自身がもっと学ばないといけないし、子どもや若い世代に「基山にはすごいものがある」ということを発信する活動が必要。若い世代が進学などで一度外に出てもまた帰って来たくなるような場所にしたい。

 桐 私は人が見える町になってほしい。人が見えれば店舗が見えるし、店舗が見えてそこが活性化したら地域が見える。SNSなどを駆使して情報発信しながら、隣の人同士が顔見知りになるような町になればと思う。ピクファの取り組みとしては、町の観光資源になるようなイベントに取り組みたい。それができればとても面白くなる。

 森山 町のいいところは人と人との関係性であったり、何より自然が豊かなところ。福岡市に近く、鳥栖ジャンクションから九州のどこへでもアクセスが良い。その中でも自然をキーワードにすれば、魅力的な町になっていくと思う。

 西依 若い人から高齢者までこの地域で生活でき、活躍できる町づくりが必要だ。忘れていけないのが伝承文化。伝えていける人脈を育てて、それを披露することで、移住してきた若い人たちにも町の文化を伝えていくことができる。それを誇りに思ってほしい。

 松田町長 皆さんの話を聞き、基山町が有名になって皆さんがいるというより、皆さんの活動を通じて町を知ってもらうのが正統ではないかと思った。そのためには、町外だけでなく、町民にもっと皆さんのことを知ってもらうことが必要。皆さんが活動する中で障壁や問題が出ると思うが、それを取り除くことが行政の役割であり、一緒に乗り越えて行ければと思う。

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