石油輸出国機構(OPEC)とロシアなど非加盟の産油国は「OPECプラス」の閣僚級会合を開き、これまでの増産規模を来年1月も維持することで合意した。新型コロナウイルスの新変異株「オミクロン株」による世界景気の減速と需要減が懸念される中で、消費国に配慮し、安定供給を優先した決定と言える。双方の信頼関係に資するものと評価したい。

 OPECプラスは昨年5月、世界的なコロナの感染拡大と経済活動の低下を受け、急落した原油相場を下支えするため協調減産に踏み切った。

 その後、ワクチンの普及などによる感染減で主要国の景気が回復し、原油需要が高まったことで、今年7月には、8月以降に毎月の生産量を日量40万バレルずつ増やすことを決めた。

 しかし需要圧力は衰えず、原油価格は指標となる油種が10月下旬に一時1バレル=85ドル台と、約7年ぶりの高値を記録。米国や日本でガソリンをはじめ幅広い物価の上昇を招く事態となっていた。

 バイデン米政権はこの事態を受け産油国へ増産を強く要請したものの、応じなかったため11月下旬、日本をはじめ中国、英国、韓国、インドと協調した石油備蓄の一部放出を発表。消費国側による異例の備蓄放出と、新変異株の出現を受けたOPECプラスの対応が今回会合の焦点だった。

 これに対してOPECプラスは、これまで続けてきた毎月の生産拡大の規模を来年1月も保つことを決定。同時に、会合後の声明では「市場動向を注視し、必要に応じて即座に調整する」と強調し、今後の生産量の見直しに含みを持たせた。

 オミクロン株の影響により世界経済の拡大ペースが遅くなる恐れがあり、今年の世界の実質成長率見通しを5・6%としている経済協力開発機構(OECD)は、新変異株が「不確実性とリスクを高めている」(チーフエコノミストのブーン氏)と警戒する。

 そうなれば石油への需要低下も避けられず、今後の相場次第でOPECプラスによる増産の縮小や停止があり得ると見ておいた方がいいだろう。

 実際、オミクロン株が各国で報告されて以来、原油相場は下落気味となっており、OPECプラスの決定にもかかわらず指標油種は一時1バレル=62ドル台まで下落した。

 日本国内のガソリン平均価格も最近の原油相場を反映して、水準自体は1リットル当たり168円台後半と高いものの、3週連続で値下がりした。

 一時的にせよ原油価格が落ち着いているこの機を逃さず、日本政府は原油・ガソリン高の影響を緩和する適切な方策について検討を深め、必要な手を打つべきだ。

 政府は今般の燃油高対策として備蓄の一部放出と、ガソリン元売り業者への補助金拠出を決めたが、いずれも価格抑制の効果は限定的な上、市場への介入手法に疑問が指摘されている。

 加えて、価格を抑え石油需要を維持する政策は、風力など再生可能エネルギーの促進に水を差すことになる。

 付け焼き刃的な対策ではなく、価格急騰時を想定した石油備蓄放出の在り方や、一時的な税軽減でガソリン価格を下げるトリガー条項が凍結されている現状を見直すかどうかなど、いざというときの手だてをしっかり議論し、法整備などを進めてほしい。(共同通信・高橋潤)

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