12日に発売される純米大吟醸酒「多久」を手にする野中保斉さん=多久市東多久町の東鶴酒造

酒造りに向け、程良い硬さに蒸し上げた米を手で丁寧にほぐして冷ます多久未来プロジェクトのメンバーら=10月31日、多久市の東鶴酒造

純米大吟醸酒「多久」の仕込み作業。「櫂(かい)」と呼ばれる棒でタンクに入れた米をかき混ぜ、雑味が出ないように均等に冷やした=10月31日、多久市の東鶴酒造

搾り立ての純米大吟醸酒「多久」。地元産のコメのうま味が詰まった新鮮な香りが漂った

純米大吟醸酒「多久」を初めて披露した蔵開きで、酒造りへの思いを語った多久未来プロジェクトのメンバー=2019年2月、多久市の天山多久温泉タクア

 多久市の市民有志が企画した日本酒が12日に発売されます。売り上げの一部を市民の活動資金に充てようと、2018年に始めた取り組みで、地元のコメと水を使い、市内唯一の酒蔵で造った「多久」という銘柄の純米大吟醸酒です。

 4年目の今季は酒造りに適した気温になった10月末に仕込みが始まりました。11月29日には新酒の出来を占う「初搾り」が東多久町の東鶴酒造で行われ、じっくりと発酵させたもろみを約24時間かけて搾り、香り豊かな酒に仕上げました。

 人口減や高齢化が進む地域の再生に向け、市内の若手農家が育てたコメを使用しています。天候に恵まれて出来は良く、東鶴酒造の6代目社長で杜氏(とうじ)の野中保斉(やすなり)さん(41)は「コメのうま味が凝縮され、新鮮でさっぱりとした飲み口の酒になった」と手応えを語ります。

 酒造りは「多久未来プロジェクト」という名称で、30~50代の商工業者ら約20人が取り組んでいます。コメの栽培から仕込み、箱詰めまで協力し、昨季は一升瓶と720ミリリットル入りで計2800本を販売しました。

 新型コロナウイルスの影響を受けた市内の飲食店を支援しようと、売り上げの一部は食事券の発行や、複数の店舗が合同で新しい料理を開発する試みに活用されました。今年は多久聖廟(せいびょう)を彩るイルミネーションの協賛も始め、市民の自発的な取り組みを後押しします。

 保斉さんは、需要の低迷で15年間やめていた酒造りを09年に再開しました。醸造アルコールを混ぜた雑味の多い量産酒が主流だった酒造りから転換。純米酒で全国に知られるようになった山口県の酒蔵などで修業を積み、地域に必要とされる酒蔵を目指してプロジェクトに加わりました。

 東鶴の他の銘柄と違い、純米大吟醸「多久」の多くは市内で消費されているそうです。12日は完成したばかりの新酒を午後から販売します。保斉さんは「多久を元気にしたいと願う作り手たちの思いが込められた最高の酒を届けたい」と話しています。(谷口大輔)

 

DATA

純米大吟醸酒「多久」

720ミリリットル入り2100円、1・8リットル入り4000円(いずれも税別)

東鶴酒造

[住]多久市東多久町別府3625-1

[電]0952(76)2421

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