佐賀県武雄市のふるさと納税で、市内の電器店が知らないうちに返礼品業者として名前を使われていたことが1日、分かった。市も店も気付かないところで約5000件、2億円を超える寄付が行われていた。寄付者に返礼品は届き、電器店にも実害はないものの、返礼品の発送遅延に続いて不可解な事案が浮上した。

 1日にあった市議会の「ふるさと納税の委託業務に関する調査特別委員会(百条委員会)」で明らかになった。

 市企画政策課によると、ふるさと納税の業務変更を説明するため9月に電器店を訪れた際、返礼品業務を辞めていたことが分かった。電器店によると、2018年8月から1年近く返礼品を扱っていたが、市の業務委託先が変わって辞めた。それでも市には電器店名義で今夏まで返礼品費用が請求されていたという。

 市によると、この電器店関連の寄付の件数は18年度846件、19年度1185件、20年度3164件、21年度412件。寄付額は21年度の1億6600万円など、総額約2億5千万円に上ると、議員が百条委で指摘した。電器店関連の返礼品は、市内に工場がある電気機器メーカーの体組成計や血圧計が多かったという。寄付者にこれらの返礼品は届いている。

 返礼品費用の請求と支払いは、市と業務委託会社との間で行われ、返礼品業者は業務委託会社とやりとりする。市には返礼品業者名義の請求書が届くが、直接のやりとりはないという。

 事情を知るのは業務委託会社だが、市は大量の返礼品の発送を遅れさせた会社と契約を解除しており、詳しい経緯を聞くことができていない。「どんな目的でやったのか推測もできない」と説明している。業務委託会社は佐賀新聞社の取材に「答えられる人間がいない」としている。

 名前を使われた電器店は「わけの分からない話。被害はないが、勝手に名前を使われていい気はしない」と、困惑しつつ怒っている。(小野靖久)

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