閉廷後の報告集会でマイクを握る平方宣清さん(右)=福岡市内

 諫早湾干拓事業の開門問題を巡って国と漁業者の和解は実現することはなく、福岡高裁での審理が終結した。漁業者側は「責任をとるべきなのに国は逃げ回るばかり」と批判した。高裁主導での和解の道は閉ざされたが、「声を上げ続けるほかない」と法廷外での話し合いによる解決を探る考えを示した。

 「席に着かない、協議に応じないという国の対応の異常さが浮き彫りになった」。結審後、会見した漁業者側弁護団の馬奈木昭雄団長は語気を強めた。「判決では紛争解決にならない。さまざまな関係者の話し合いによる解決を実現しなければ」と訴えた。

 高裁は今回の訴訟で、開門・非開門の前提条件を設けない和解協議を提案した。特に国側には積極的な関与を促したが、国側は「開門の余地を残した協議の席には着けない」と入り口で拒否。2017年の大臣談話に沿う「開門によらない基金による和解」の姿勢を貫いた。

 結審後、藤津郡太良町大浦の漁業者、大鋸幸弘さん(65)は「有明海再生がわれわれの願い。地域の将来のためになるよう国は誠実な対応を」と語った。

 一方、農林水産省の北林英一郎農地資源課長は、会見で「必要な立証は尽くしてきた」と強調。漁業者側が求める法廷外の話し合いについては「非開門が前提であれば検討する」と淡々とした表情で語った。(中島幸毅、小部亮介)

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