結審後、報道陣の取材に応じる漁業者側弁護団の馬奈木昭雄団長(左)と平方宣清さん=福岡市

会見で報道陣の質問に答える農林水産省の北林英一郎農地資源課長=福岡市内

 国営諫早湾干拓事業(長崎県)の潮受け堤防排水門の開門を命じる確定判決の効力を争う請求異議訴訟の差し戻し控訴審第7回口頭弁論が1日、福岡高裁(岩木宰裁判長)で開かれ、結審した。結審後に行った非公開の協議の場で、高裁は和解による解決を正式に断念する考えを漁業者側と国側に示した。判決は来年3月25日に言い渡される。

 漁業者側弁護団によると、結審後の協議で高裁から、和解協議に関する考えに国側が改めて応じず、和解協議入りを断念したと説明を受けたという。

 弁護団の馬奈木昭雄団長は「結審後もなお、裁判所は和解解決を考えていた。はっきり言って(応じない)国は恥ずかしいと思うべき」と非難した。一方で、国側は「高裁からは、この裁判での和解協議入りは断念するという方針を示された」との認識を示した。

 この日の口頭弁論で、漁業者側の平方宣清さん(69)=藤津郡太良町=が意見陳述した。4月に高裁が示した和解協議に関する考え方を「解決に向けた希望の光だった」と強調し、呼び掛けに応じなかった国の姿勢を指弾。漁業の窮状を訴え、漁獲量が回復傾向とする国の主張を誤りとして「有明海再生に開門調査は必要」と述べた。

 弁護団は国側に和解協議の在り方を改めて検討するように求めるなどしたが、国側は最終弁論を行わず、審理は終結した。

 今回の請求異議訴訟は、開門を命じた2010年の確定判決が無効だとして国が起こした。18年7月の福岡高裁判決が開門命令を無効化したが、最高裁が19年9月に差し戻した。(小部亮介)

このエントリーをはてなブックマークに追加