三瀬の卵をふんだんに使った前菜

 まだ暗い朝に自宅から養鶏場へ歩いていく。その途中の雑木林が大好きだ。今はほとんどの木々が葉を落とし、その葉が折り重なる錦繍きんしゅうのように映って、踏み歩む時の足裏の感触と音は何とも言えない心地よさだ。

 そんな森に今月は会社時代の先輩が東京からキャンピングカーで訪ねてきたり、友人にカフェを貸して中欧のクリスマス展も開いた。静かな晩秋に火が灯ともされたように土地と心が明るくなった。

 そして、人によって灯されつつある大分県竹田市を訪ねることもできた。大学生の娘が縁あって地域おこしのお手伝いを住み込みでしており、お世話になっている挨拶のために訪れた。20年ぶりの竹田の城下町は色づく山々に囲まれて美しかった。

 娘のアルバイト先のイタリア料理店は横浜から移住した若い女性が一皿ごとに感嘆するほどの手間を掛け、目も体も刺激され癒やされる料理だった。住み込みの建物には移住者や旅する人たちが相撲部屋のように集っていて、何より皆がキラキラした明るい目で私たちを迎えてくれたのが忘れられない。

(養鶏農家・カフェ店主 小野寺睦)

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