「最後の市場」と呼ばれるアフリカで開発が進められている

 「電気はないけど電波はある」。アフリカでは携帯電話をほとんどの人が持っています。何に使っているのかを調べると、携帯電話が銀行になっていることが分かりました。

 農村部の人々は銀行口座を持っておらず、携帯電話は通話の手段ではなくて口座代わりになっています。街で働く子どもが親に携帯電話で仕送りを送金しています。友人や親類とのお金の貸し借りもそうです。大きなスーパーでの買い物は携帯電話を通じて電子マネーで支払います。ある意味、日本より進んでいます。

 そんな状況なので、一刻も早く電波を通せばサブサハラ(サハラ砂漠以南の49カ国)約10億人の市場の囲い込みにつながります。

 日本企業の場合、基地局を整備するとなると事前調査、測量、鉄塔建設と段階を踏んで着実に進めるでしょう。ところが、欧米や中国の企業は「囲い込み」の目的が明確で、そんな立派な基地局を想定しません。大きな木にアンテナをくくり付けてでも先に電波を通し、後から鉄塔を建設すればいいというやり方と聞き及んでいます。

 先進国はアフリカを「最後の市場」と見ています。道路のインフラが遅れているために物資をドローンで配送するなど、最新技術が入ってきて「リープフロッグ」(カエル跳び)と呼ばれています。アフリカが先進国の実証実験の場になっている側面もあります。

 東アフリカのルワンダは1994年の大虐殺が連想されますが、今はIT立国としてアフリカでも群を抜いています。首都キガリの街を散歩してみると、ごみだけでなく街路樹の枯れ葉さえありません。経済成長はすさまじく、世界のIT系のベンチャー企業がたくさん集まってきています。

 もはやアフリカは援助の大陸でも協業という名のパートナーシップの大陸でもなく、アフリカの主導でほかの国が歩調を合わせながら開発していくステージに入っている。そんな気がしてならないのです。

 そいぎんたあ…

(川口信弘・川口スチール工業社長)=毎週火曜掲載

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