忘年会でアクリル板越しに談笑する参加者たち=佐賀市松原の料亭「楊柳亭」

 コロナ禍で2度目の忘年会シーズンが近づいてきた。佐賀県内の感染状況は落ち着いているものの、数十人単位の大規模宴会の需要は戻っておらず、店舗によって明暗が分かれているのが実情だ。店側は少人数での宴席を積み上げつつ「感染対策を徹底して『第6波』を防ぐ」と細心の注意を払っている。

 11月下旬、来年創業140周年を迎える老舗料亭「楊柳亭」(佐賀市松原)では一足早い忘年会が催されていた。広々とした1階の大広間に設置されたテーブルは一列のみ。机上はアクリル板で仕切られ、利用者が向かい合わせにならないよう間隔を空けて交互に配膳されていた。

 「コロナ前は大広間には3列ほど席を設け、60人ぐらいは入っていたが、現在は密を避けることを優先している」と話すのは岸川正人社長(61)。店内の至る所に消毒液を配置し、除菌装置なども稼働。二酸化炭素濃度の測定機器も設置し、数値が一定以上になると換気をする徹底ぶりだ。感染対策に関する県の認証も取得した。

 昨年は11月末から感染が拡大して忘年会の需要が激減し、例年の半分ほどまで落ち込んだという。今年は県独自のプレミアム付き食事券の利用も好調で「大人数は少ないが、個人利用もあり、昨年よりはだいぶいい」(岸川社長)。旅行会社が県の宿泊補助キャンペーンを活用したプランを提供していることもあり、20人程度の宴会も入り始めているという。

 一方、道半ばという声も。嬉野温泉旅館組合の池田榮一理事長(72)は、自身が経営する「御宿 高砂」では「忘年会の予約は現時点ではコロナ前の10%くらい」と明かす。

 宿泊予約は上向いており、10月は組合平均でコロナ前の8割近くまで戻った。足元でも土曜は旅行客で埋まりつつあるが「コロナ前は、土曜の宿泊は忘年会とセットだったんだけど」と宴会需要はいまひとつだ。

 スタッフの一部を派遣会社に依頼していたある宿泊施設は、コロナ禍の間に派遣需要が他業種で広がったことから、「派遣会社に依頼をしても人がいない状況」と忘年会を支える人手の確保に苦慮するケースも出ているという。

 佐賀県内では28日まで11日連続で新型コロナウイルスの新規感染者ゼロが続いているが、大規模な宴会に慎重な姿勢を崩していない企業も多い。佐賀県飲食業生活衛生同業組合の吉田彰友理事長(70)は「来春には無利子融資の据え置き期間が終わり、運転資金の返済が始まる事業所も増えてくる。国が大型の経済対策予算を組んだので、行政は再度のプレミアム付き食事券など、人が動く仕掛けをしてほしい」と注文する。(大橋諒、北島郁男)

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