「炎上するバカさせるバカ 負のネット言論史」

 本紙で月1回「佐賀『なんもなか』の真実」を連載するネットニュース編集者・中川淳一郎さん(唐津市在住)の新刊「炎上するバカさせるバカ 負のネット言論史」(小学館新書)が30日、発売された。インターネットを舞台に起こる数々の炎上騒動を皮肉的に総覧し、多くの人生を狂わせ時には命さえも奪うきっかけとなったSNSについては、使う意味を「今一度考えてもいいのでは」と提言する。

 本書では炎上について、元々の定番は匿名掲示板などでの一般人の発言に対する批判集中だったが、2008年、歌手の倖田來未さんのラジオ番組での発言が報じられて以降、テレビやSNSなどでの発言も記事化され、炎上が頻発するようになったと分析。いま「炎上は人々の娯楽として身近な存在になっている」と皮肉った上で、飲食店のアルバイト店員が職場での悪ふざけ写真をツイッターに投稿して起こる13年頃の炎上から、恋愛リアリティーショーに出演していたプロレスラー木村花さんがネットの誹謗中傷を受け20年5月に自殺した問題まで、さまざまな炎上事案を取り上げる。

 その上で「炎上の歴史というものは、本当にどうしようもない人間の愚かな面を暴き出してくれるもの」と指摘。「愚かな面について今一度振り返り、まともな人生を送る一助となれば」と狙いをつづる。

 ウェブメディア「FINDERS」に連載された「中川淳一郎の令和ネット漂流記」をベースに大幅加筆した。新書判で256ページ、924円。(志垣直哉)

 ■中川淳一郎さんコメント

 ネットの炎上というものは、皆さまあまりご自身は体験したことはないかもしれませんが、炎上してしまうとその人にとっては人生がどん底に落ちてしまう感覚を抱くものです。何よりつらいのは、自分に対して誹謗(ひぼう)中傷をする人間が実は実際の知り合いかもしれない…。そんな疑心暗鬼から実生活にも悪影響をもたらしてしまいます。ひどい場合は自殺することもあるわけで、その場合は、炎上させたり誹謗中傷を書いた側も良心の呵責(かしゃく)に苛(さいな)まれ、場合によっては名誉棄損等の裁判を起こされ「軽い気持ちだった」なんて言い訳をするのです。炎上はロクなことをもたらしませんが、「人間の性」を知るには炎上観察は非常に有用です。私はこの20年ほど炎上を見続けては原稿を書くという仕事を続けてきましたが、一旦の総括として本書を上梓(じょうし)しました。ネットをあまり見ない方にとっては「こんなヘンテコリンな世界があったのか!」と「珍獣」を見るような感覚にもなるかもしれません。極力炎上しないように、させないような人生を送りたいものですね。

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