在職1日の国会議員に、1カ月分の経費として100万円をそっくり支払うのはおかしいではないか―。至極当然の疑問に端を発し、「文書通信交通滞在費」の支給を月割りから日割りに変更する歳費法改正案が、12月の臨時国会で成立する見通しとなった。

 先の衆院選で当選した日本維新の会の新人議員の問題提起に、1週間程度で主な与野党の方針が一致した。来夏の参院選をにらんで、素早い対応を演出したのだろうが、日割りへの変更だけでは済まされない。

 この問題は今回初めて浮上したのではなく、長年指摘されながら、放置されてきた。いわば、自らの既得権益に甘かった立法府の怠慢だ。そもそもの必要性、使途の透明性確保など、抜本的に見直すべき事柄が多く残されている。国民が納得できる議論を求めたい。

 衆院選は解散により10月31日に投開票された。公選法の規定によって当選議員の任期は同日から始まるため、新人や元職には、在職1日で10月分の文通費100万円が全額支払われたわけだ。

 国庫への返納は、寄付行為を禁止する同法に抵触する恐れがありできない。これを日割り計算で在職日数分の支給にするのが、改正案の内容だ。

 文通費について、歳費法は「公の書類を発送し及び公の性質を有する通信をなす等のため」のもので非課税としており、議員活動の経費だ。1993年の同法改正によって、文書通信交通費の名称で月額75万円だったのが、東京での「滞在費」が付加され「文書通信交通滞在費」に名称変更、100万円になった。

 2000、09年衆院選、10年参院選など、任期最初の月の在職が数日となるケースが出た国政選挙を受け、繰り返し問題視する声が上がった。歳費(給与)とワンセットで批判されたが、歳費は10年の参院選後の法改正で月割りから日割り支給に変更、だが文通費は手つかずのまま残された。

 こうした経緯を振り返ると、今回の動きは遅きに失したと言わざるを得ない。さらに文通費には本質的な問題もある。

 「書類発送」「通信」などの費用というが、文書の電子ファイル化や電子メールの普及などデジタル全盛の時代に、年間1200万円も必要なのか。大いに疑問だ。

 事前渡し切りで、使途の公表義務、未使用分の返納義務がないのも問題だ。何に流用されてもチェックできない。「第2の給与」と言われるのも当然だろう。

 維新は独自に、各議員の文通費の使途報告書を領収書とともに公開している。前向きな取り組みだが、それでも自身が代表の政党支部や資金管理団体に大半を寄付するなど、違和感を抱く事例が少なくない。

 地方議員にとっての活動経費である政務活動費は、多くの議会で使途報告や領収書の公開、残余分の返納などが義務付けられている。事前支給をやめ、事後精算制を導入した議会もある。国会議員だけを特別扱いする合理的な理由はない。

 衆院議長から委嘱を受けた調査会が01年、衆院改革についてまとめた答申では、文通費を「実費弁償的なもの」とし、領収書付き使途報告書の提出義務付けや公表などを提言している。

 いまに通じる内容だ。与野党には、これらを無視してきたツケを、きちんと払ってもらいたい。(共同通信・出口修)

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