8月の記録的大雨による浸水被害は内水氾濫が原因だった=8月14日午前8時、武雄市朝日町甘久

 2年前の佐賀豪雨に続き、甚大な浸水被害が広がった8月の記録的大雨から3カ月が過ぎた。武雄市は復興に向けた具体策を示した「新・創造的復興プラン」を発表した。昨年1月に発表した「創造的復興プラン」から踏み込み、生活再建を最優先する内容になっている。将来の気候変動にも対応し、「被害の最小化」と「床上浸水ゼロ」を目指し、今後も安心して住み続けられるように「ふるさとを守る」を基本理念にした。前回は被災から発表まで5カ月を要したが、今回は3カ月でまとめた。スピード感は評価できるものの、実現性のあるプランになったのだろうか。

 今回の被害は、河川に水を流す排水ポンプを停止したために起こった「内水氾濫」が原因だ。プランでは主な取り組みとして「内水氾濫の防止」が掲げられている。具体的には(1)市内の農業用ため池を治水に最大限活用(2)田んぼダムの促進(3)内水氾濫ハザードマップの整備(4)治水対策の専門部署を新設-となっている。専門部署として22日に始動した治水対策課は「六角川流域内水対策調査」を行う。30日開会の定例議会に関連予算2千万円を提案する。

 武雄市が取り組むべきことは来年の大雨シーズンまでに、河川の水位を下げる方策をどれだけ実現できるかということだろう。ため池の活用はすぐにでも取り組める事例だ。市内には430カ所のため池があり、204カ所が六角川水系に属している。農業用ため池を治水に活用するには、水を一時的に放流しなければならない。受益者の同意と、金銭的な補償も必要になる。豪雨時に水田の水を一時的に排出する田んぼダムと併せせて早急な対応を期待する。

 内水氾濫ハザードマップの整備は時間と予算がかかるため、なかなか取り組めなかった。ただ、小松政市長によると「市内の内水氾濫と外水氾濫のエリアに大きな違いはない」らしく、整備はそこまで難しくないという。マップの整備が進めば、浸水エリアからの集団移転も提案できる。2度の浸水被害に遭った被災者からは「住める場所を具体的に示してほしい」との意見が出ていることも事実だ。

 治水対策課にも注目したい。補正予算を組んだ内水対策調査は、来年夏に結果を報告するとのことだが、もっと早くできないものか。内水氾濫ハザードマップの整備と併せて対応が急がれる。通常は建設課や土木課に任されていた業務を集中的に取り組む。成果が上がれば被災していない自治体からも、参考にしたいという声が上がるはずだ。

 被災者は寒さが本格化する中、日常を取り戻すため懸命に踏ん張っている。飲食店などの店舗も、将来への不安を残しながら店を開け始めた。行政は早急に「いつまでに何をどうする」という治水対策を示すべきだ。(澤登滋)

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