ミカンにリンゴ、キウイにプルーン。スーパーの棚にはいろんなドライフルーツが並んでいるが、これから時季を迎える干し柿もドライフルーツの一種。古くから伝わる保存食であり、正月飾りに添える縁起物でもある◆佐賀市大和町松梅地区は干し柿の産地。天山と脊振山系のはざまに位置し、昼夜の寒暖差が干し柿作りに適しているという。先日、小中一貫校松梅校の柿むき大会を見学した後、地区内を歩いた。ビニールシートを屋根にして、すだれのように柿がつるされ、山の木々とのコントラストが鮮やかな景観を成していた◆干し柿に使われる柿は渋くて食べられないが、乾燥させることでタンニンの渋みが抜けて甘くなる。日本では平安時代の記録に祭礼用の菓子として登場するほど、昔から作られてきた◆松梅地区で干し柿作りを続けている上野耕太郎さん(75)に尋ねると、「葉隠」と書いて「はがくし」と読む品種が8割を占めている。水分が多く、軟らかいのが特徴で、消費者に好まれるという。今月10日ごろからつるし始め、1カ月ほど干して正月用に出荷される◆上から見下ろすと、収穫を終えた木に一つ、二つと残っている実があった。来年の実りを願って残すという「木守り」だろうか。器用に皮をむく子どもたちも育っている。山里の伝統が大切に守られていた。(知)

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