31日に投開票される衆院選で、佐賀県内の各政党は小選挙区の勝利と合わせ、比例代表九州ブロック(定数20)での議席獲得に向けてラストスパートをかけた。比例に注力する公明党は推薦した1、2区の自民党候補と連携して票を掘り起こし、公認候補を立てなかった共産党も比例での党勢維持へ躍起に。一騎打ちの構図の小選挙区に対し、比例票を巡る争いは各党の思惑が複雑に絡み合う。

 25日夜、佐賀市大和町で開かれた1区の自民候補の決起大会。応援弁士として比例単独候補の今村雅弘氏(74)=鹿島市出身=があいさつした。「比例で私は議席を取れると思いますので、比例は公明党に協力してください」

 公示前日の18日、自民党本部は今村氏を九州ブロック名簿順位の単独1位とした。順位次第では公明から小選挙区で推薦を得る見返りに、比例で公明に投じる協力が機能しなくなる懸念があった。自民県連関係者は心置きなく協力ができる態勢を歓迎しつつも「自民の比例単独候補が『比例は公明』というのは不思議な感じ」と苦笑いした。

 公明党県本部は前回失った九州比例4議席目の奪還を至上命題とし、県内で5万4千票の獲得を目標に掲げる。前回は小選挙区比例代表制になって以降、最も少ない4万9279票にとどまった。上積みのために前面に押し出すのが、鳥栖市出身で九州ブロック比例4位の吉田久美子候補(58)。自民側も決起大会で「佐賀の与党議員がもう1人増えることは大きな意味がある」と後押しする。

 1区の自民候補の推薦が公示日に間に合わず、両党関係者の間に一時不安が広がったが、公明県本部の中本正一代表は「解散時期が見通せていたこともあり、時間的余裕をもって準備してきた。互いにこれまでより踏み込みながら戦えている」と手応えを語る。

 一方、立憲民主党県連の関係者は「正直、県連内で比例票の話をしたことがない。小選挙区での勝利を目指して頑張れば、比例の結果も後から付いてくる」と話す。前回、希望の党の約9万5千票、旧立民の約5万7千票、社民党の約1万3千票を足し合わせると、自民の約14万9千票を上回る約16万5千票を獲得していたことになる。「今回は大きな固まりになった立民として自民を上回りたい」

 ただ、支援組織の連合は立民の原発政策を巡り、傘下の電力総連や電機連合が反発し、県内にも影響を及ぼしている。連合佐賀は1、2区の立民候補を推薦しているが、ある構成組織の関係者は「うちの産別では小選挙区は立民候補、比例は国民民主党と書く方針になっている」と明かす。

 共産党県委員会は、街頭演説で立民の候補者名とセットで「比例は共産」と訴える。しかし、野党候補一本化のために小選挙区で公認候補の擁立を見送ったことで、熱の広がりに危機感を抱く。候補がいないことで選挙カーやハンドマイクが使えず、「共産が得意とする『声』での訴えがやりにくくなっている」と今田真人委員長。「愚直に共産のぶれない姿勢を訴えるしかない」と、委員会のメンバーらが路上で声を張り上げる。県内の比例票4万6千票を目指す。(衆院選取材班)

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