国営諫早湾干拓事業(長崎県)を巡り、潮受け堤防排水門の開門を命じた確定判決の効力について争う請求異議訴訟差し戻し控訴審の進行協議が27日、福岡高裁(岩木宰裁判長)であった。高裁は漁業者側と国側に、和解に向けた協議を打ち切り、12月1日に審理を終結させる方針を示した。さらに、本年度中に判決を言い渡す見通しも提示した。

 進行協議は非公開で、漁業者側弁護団が明らかにした。弁護団によると、高裁から国側が協議の打ち切りを求めたと説明があり、その後、次回の進行協議を予定していた12月1日の期日を弁論に切り替え、その日に結審する意向を示した。高裁は結審後に三者が集まる場を設けるとし「判決は3月いっぱいにしたい」という考えも伝えたという。

 高裁は4月28日、口頭弁論後にあった進行協議で「話し合い以外に解決の方法はない」とし、開門・非開門の前提条件を設けない和解協議を提案。6月以降、月1回ペースで和解に向けた協議を進めてきた。国側には「積極的な関与を強く期待する」と解決への努力を促していた。

 漁業者側は高裁の提案に賛意を示してきたが、国側は「開門の余地を残した和解協議の席に着くことはできない」などとして、従来の姿勢を崩すことなく協議打ち切りを求めていた。

 馬奈木昭雄団長は、協議を進めてきた高裁に感謝の意を示し「こういう解決をしなければいけないと道を示したことは私たちにとってバイブル」と評価。一方で高裁の提案を拒み続けた国を「裁判に勝つことが至上目的。裁判所にも国民にも極めて不誠実で残念」と非難した。

 農林水産省の北林英一郎農地資源課長は進行協議後の会見で、「開門によらない基金による和解」を目指す2017年の大臣談話に沿って臨む従来の姿勢を強調。その上で「差し戻し審が始まって2年弱。国としては必要な主張、立証は尽くしてきたと考えている」と述べた。(小部亮介)

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