佐賀県内の集合住宅で、軽度の知的障害を抱えた20代母親がくみ取り式トイレに新生児を産み落として放置した事件を巡り、有識者らで構成する佐賀県社会福祉審議会の児童処遇部会(部会長・松山郁夫佐賀大教育学部教授)が検証会議を開き、報告書を佐賀県に提出した。知的障害者への性教育の在り方などを課題に挙げ、相談しやすい環境整備の必要性などを強調した。

 検証会議は、虐待を受けた児童が死亡した場合などに、事実の把握や発生原因の分析などを行って問題点や課題を整理し、再発防止などを目的に開く。今回の事案に関しては、2020年11月から21年9月までに6回開かれ、10月22日に県に報告書を提出した。

 報告書によると、特別支援学校の性教育で学んだ内容を実生活で行動に移すことが困難な場合があることや、妊娠や出産などプライベートな問題に第三者が介入することの難しさなどを課題として指摘した。

 特別支援学校卒業の際に相談先をまとめた冊子を配布することや、卒業後の支援の仕組みとしてアウトリーチ型の支援体制構築を目指すことを提言。佐賀市など4市町に設置されている「子ども家庭総合支援拠点」を全20市町に拡充することなど、相談環境の整備も求めた。

 事件は20年1月6日、作業員がくみ取りした際にホースに新生児が詰まっていたことで発覚。逮捕された母親は死体遺棄の罪に問われ、同年8月の佐賀地裁判決で懲役1年2月、執行猶予3年を言い渡し、その後確定した。(小部亮介)

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