新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年度の文部科学省の問題行動・不登校調査で、全国の国公私立の小中学校で30日以上欠席した不登校と、小中高生の自殺が過去最多となった。一斉休校で生活のリズムが狂い、学校生活にはさまざまな制約がかかり、不安や悩みを誰にも相談できずに、孤立を深める子どもたちの姿が浮かぶ。

 一方、いじめの認知件数は小中高などで軒並み減少した。一斉休校などの影響で、対面でやりとりする機会が減り、教員が感染に絡むいじめを警戒して指導を徹底したことなどが要因とみられている。とはいえ、子どもが打ち明けられず、いじめの多くが見逃されているだけとの指摘もある。

 コロナ禍は子どもの生活を大きく変えた。在宅勤務やパートのシフト削減などで自宅にいる時間が長くなった親と摩擦が増えたり、文化祭や修学旅行、部活動の中止・延期や給食時の「黙食」などによって友達と交わることを制限されたりした。家庭にも学校にも居場所がなくなり、追い詰められているという見方が広く共有されている。

 衆院選を機に、自殺や虐待の防止といった子ども関連政策の司令塔となる「こども庁」の創設に向けた議論も高まっている。相談体制の大幅拡充などで子どもの不安にしっかりと寄り添い、かつての日常を取り戻せるよう後押しするのが喫緊の課題となっており、対策の具体化を急ぎたい。

 文科省調査では、20年度に小中学校の不登校は19万6127人で、前年度より1万4855人増えた。要因は「無気力・不安」が最も多く、9万1886人。これに「生活リズムの乱れ、遊び、非行」の2万3439人、「いじめを除く友人関係を巡る問題」の2万830人―などが続く。

 高校の不登校は、7049人減の4万3051人。また感染を回避するため30日以上登校しなかった小中高生は計3万287人に上っている。

 小中高生の自殺は98人増の415人だった。うち12人は、いじめを受けていたとみられる。小中高校と特別支援学校が認知したいじめは9万5333件減の51万7163件となり、7年ぶりに減少。身体的な被害や長期欠席などが生じた「重大事態」も209件減の514件にとどまった。

 ただ、これは、あくまでも学校などからの報告に基づく集計だ。支援団体などに被害相談が後を絶たず、いじめがあったかどうかを巡って被害者側が学校や教育委員会による調査の公正さに疑問を呈する例が相次いでいることなどを考えると、うのみにはできない。

 文科省は、子どもが使い慣れている会員制交流サイト(SNS)を活用した相談体制の整備を進めている。ほとんどの小中学生には文科省の「GIGAスクール構想」でタブレット端末が配布されているが、昨年11月には東京都町田市の小6女児が端末のチャット機能に悪口を書き込まれるいじめに遭い、自殺。学校の管理態勢などの見直しが急務となっている。

 「第6波」も懸念される中、教員は感染対策に追われ、余裕がない。子どもの相談を受けるスクールカウンセラーや教育・福祉を専門とするスクールソーシャルワーカーを学校により手厚く配置し、民間の支援団体の協力も得て、誰も置き去りにしない仕組みを早急に構築する必要がある。(共同通信・堤秀司)

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