佐賀平野は「収穫の秋」を迎えている。黄金色の稲穂は刈り取られ、日ごとに景色が変わっていく。店頭には新米が並ぶようになり、食べ過ぎ禁物の身には自制を試される「食欲の秋」でもある◆以前、耕作放棄地再生の取り組みを取材したことがある。耕作をやめた農地は草が生い茂り、石ころも入り交じっていた。「一度やめると、元に戻すのは簡単じゃない」。農家の話を聞きながら、作物も景観も人の営みでつくられていると実感した◆今年の県産米は作況指数97の「やや不良」。「不良」だった昨年より改善したが、全国的には新型コロナ禍の外食需要減少で前年産の在庫が積み上がっている。米価の下落が懸念されており、農業の難しさを改めて思う◆林業も厳しい状況にあるが、佐賀県が半世紀をかけて開発した「サガンスギ」は明るい話題。従来品種は伐採まで50年かかるが、サガンスギは30年と短く、花粉も少ない。県内で計画的に植えれば、160年で置き換わるという。朗報だが、ふと考える。それでも30年、160年かと◆漁業を含め、1次産業は対策を取ってもすぐに成果が表れるわけではない。「経済安全保障」が注目されてきたが、石油や半導体だけでなく、自給率37%の食料も重要な対象。生業(なりわい)として持続できる産業にと願いつつ、各党の政策を見比べている。(知)

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