今回の衆院選の各政党の公約や政策を比較するウェブサイト。佐賀県内でも各政党、候補者のサイトやSNSなどをチェックしながら、投票先を考える若い世代が少なくない

 衆院選が公示され、各政党や候補者は若い世代など新たな支持層拡大を意識してSNSをフル活用している。政治離れが指摘される若い世代だが、佐賀県内の20、30代の中にも、物心ついた時からネットに親しんできた「デジタルネーティブ世代」なりの流儀で政治と向き合おうとする若者たちがいる。互いに情報を共有する、ネット上の多様な情報を目を通す。一票のために工夫を重ねている。

 佐賀市の龍佳衣都さん(33)は、もともとは政治への関心は薄かったが、コロナ禍のおかげで政治が身近に感じられるようになった。ネットで動画などを見ているうちに、岸田文雄首相がネット番組に出ている姿や、若者向けに工夫して発信している政党の情報をチェックするようになった。

 衆院選公示直前に行われた佐賀市長選でも、友人から「なんか、すごいのが上がっているよ」と、ある候補者のインスタグラムを教えられた。「真偽が分からない話が、ツイッターにあふれていて、本当なのかな」と気になり始めた。

 「でも、私たちがちゃんと情報を選んでから発信すれば、何が本当かが分かってくると思う」。自らも気になる話題は友人とシェアしている。1人では判断に迷う内容も、たくさんの仲間でチェックする、いわば“集合知”のフィルターにかけていく考え方だ。

 衆院選佐賀選挙区の各陣営ともネット戦略を重視し、走行中の街宣車の中から候補者が自らの演説を生中継したり、支援を呼び掛ける動画を毎朝公開したりと活発化している。

 佐賀市の石田勇以さん(26)は、候補者全員の公式サイトをチェックし、候補者自身が語っている動画を見比べるようにしている。「記者会見で語っている姿を見てみると、ちょっと印象がよくなかったりして、文字情報だけでは分からない部分がある」からだ。

 動画に寄せられたコメント欄にも目を通す。賛同や応援のメッセージだけでなく、異なる意見や批判も当たり前に寄せられるのがネット空間。「まったく批判的なコメントがない場合は、逆にこれは不自然だな」と判断しているという。

 佐賀市の大学院生の江越実咲さん(22)は、同じ大学の中国人留学生による佐賀市長選にまつわるSNSの投稿に目を留めた。空洞化が進む中心市街地の活性化策を考えようという呼びかけ。こうした若者たちの声を取り入れる形で、バスケットボールのゴールやコミュニティーカフェを設けたいという夢が、ある候補者の公約に盛り込まれた。

 「地域に交流の場を持ちたいという彼の気持ちにすごく共感した」。江越さん自身も地元自治会で資料作りなどを手伝っており、高齢化する地域社会をどう維持していくかに関心を持っていたからだ。思わぬ形で政治を近くに感じ取った。

 フェイクニュースも飛び交うネット空間から、いかに情報を引き出すか。情報をうのみにせず、自らの目で見極める工夫が、デジタルネーティブ世代の基本作法となっている。(古賀史生)

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