障害のある子が笛の授業に参加できるスライド式リコーダーが、福祉機器コンテストの最優秀賞に選ばれた大坪武廣さん=みやき町

 みやき町の大坪武廣さん(74)が開発した指一本や足で演奏できるスライド式リコーダーが、日本リハビリテーション工学協会の「福祉機器コンテスト2021」で最優秀賞に選ばれた。手や指に障害のある子どもたちがリコーダーの授業に参加できるようになると見込まれ、「必要とする人は多いと思う。普及と購入できる仕組みづくりに期待したい」と高い評価を受けた。

 受賞作は、わずかに太さが違う2本の真ちゅう製の筒を使い、穴を空けた筒の外側に、幅約12センチの筒(外カバー)をスライドさせ、指の代わりに穴をふさぐ。2オクターブの音階が出せ、加えて片手でスライドさせるので手や指が不自由な人も容易に演奏できる。開発期間は7年。筒を削り、音を調整し、試作品は100本を超えた。

 大坪さんは元熊本県立技術短大教授。メーカーの機械設計や職業訓練校で機械加工、コンピューターによる図面作りなどを長年指導した。退職後、「世の中に役立つものをつくりたい」と考え、趣味の笛作りを発展させて取り組んだ。

 海外製の部品も探し、内側と外側の隙間がわずか0・1ミリの筒の組み合わせを見つけたが、それでもわずかに空気が漏れて思うような音階が出せず、諦めかけた時期もあった。内側の筒が自分の重みで下に落ちる力を使って外側の筒と密着させる方法を思い付き、道が開けたという。

 見本を送ったところ四肢障害児の親たちと交流が生まれ、応用すれば両手が使えない子も足で、両手、両足がない子も肘先で演奏できることを実証してくれた。写真を見た審査員は「適応範囲が広い」と指摘し、受賞を後押しした。

 受賞と同時期に、英国の身障者向け楽器支援団体OHMI主催のコンテストでも1位に選ばれ、海外でも評価を得た。「これを機に、困っている子に一人でも多く喜んでもらえたら」と大坪さんは話す。個人では量産は難しく、「軽くて、使いやすいものが安価に使えるようにならないか」と今後の広がりを願っている。(樋渡光憲)

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