佐賀1区の候補者の街頭演説に集まった人たち。有権者は各候補の訴えに耳を澄ます=19日午前、佐賀市内(一部を画像加工しています)

 新型コロナウイルス対策や経済対策などを争点とした衆院選が19日始まった。国と地域の未来を誰に託すのか。コロナ禍で社会の姿や暮らし向きが変わる中、佐賀県内の有権者は、それぞれの視点から候補者の訴えに耳を澄ます。

 ■中間層

 「分厚い中間層の再構築」を唱える岸田文雄首相。野党も現金給付など分配の施策を掲げ、与野党とも「中間層」を意識する。「自分は中間層に絶対入ってないよね」。佐賀市在住のパート女性(61)はつぶやいた。事務職として16年勤めた職場に、昨秋再雇用されたが、積み上げてきた時給は最低ランクまで下がり、将来に不安を感じている。非正規雇用者への経済的支援などを巡る議論に期待しつつ「どういう支援がどのくらいできるのか」と首をかしげる。

 ■社会保障

 少子高齢化が進む中、限られた財源を子育て世代や高齢者への施策にどう生かすか、当事者は注目する。唐津市和多田の男性(87)は年金と貯蓄で妻との暮らしをまかなう。二人とも病院通いや訪問介護が必要。政府は全世代で年金制度を支えることを提唱しているが「負担が倍になると思うと…」と不安は尽きない。「一律支給や負担ではなく、本当に困った人に支援が行き渡る施策を」と注文する。双子や三つ子を育てる保護者を支援する「さが多胎ネット」の中村由美子さん(56)も、昨年から始まった国の支援事業を評価しつつ、「多胎家庭だから、という見方ではなく、困っている人、必要としている人に手を差しのべて」。適切な施策かどうか注目する。

 ■国策課題

 新幹線、諫早湾干拓事業など県内に横たわる国策課題。佐賀空港へのオスプレイ配備計画では、地権者への説明が進む。杵島郡白石町のノリ漁師(39)は「環境への悪影響や風評被害など心配は尽きないが、オスプレイは選挙で全く話題になっていない」と不満をもらす。計画浮上から7年。佐賀市の漁業者(50)は政治がリーダーシップを取って解決に導く様子が見えないとし、「政治家を信用する気にはならない」と冷めた目で見つめる。

 ■若い世代

 国政、地方選を問わず、投票率の低下が続く。若い世代は政治への無関心をどう見つめるのか。佐賀新聞社の主権者教育出前授業を受けた白石高3年の馬場涼介さん(18)=鹿島市=は「自分が行動しないと(社会は)変わらないと思うようになった」と気持ちの変化を語る。「生活は政治の判断で変わる。候補者は分かりやすく主張を伝えてほしい」と望む。

 佐賀工高3年の村岡愛菜さん(18)=佐賀市=は17日に投開票された佐賀市長選・市議選で初めて1票を投じた。「若い世代は政治や選挙は難しいというイメージを持っている」と感じる。今の関心事は新型コロナ対策。「効果を実感する公約や政策があれば投票率は上がる」と期待を込めた。(衆院選取材班)

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